体温の上がる限界は何度まで?
新型コロナウイルスの出現によって、ふだんは自分の体温をはかったことがない人でも、平熱を知る良いきっかけになったに違いありません。
ところでこの体温、いったい何度まで上がるのでしょうか?……気になります。
日本人の平熱は何度?
コロナ禍以前は、自分の体温に関心を持つ人は少なかったのではないでしょうか。体温計を家に置いていない人も多かったと聞きます。
今ではほとんどの人が自分の平熱を知っています。
では日本人の大人の平均体温は何度だと思いますか?
約70年前に調べられた統計によると36.89度だそうです。さらに全体の7割あまりの人がその体温の±0.34度の範囲内にあったということです。
平熱とは、「健康な状態」で「安静時」に、「決まった部位」を「決まった時間」に「決まった方法」で測定した体温をさします。
一般的には脇の下(腋窩)で測りますが、口の中とか直腸で測定することもあります。
だいたい36〜37度程度であれば平熱の範囲内となっているようです。
もちろん平熱には個人差がありますし、時間帯によっても体温は変化します。
体温は、朝の4~6時頃がもっとも低く、午後2~7時頃がもっとも高くなるといわれています。
37・5度を超えたら「発熱」?
ただ、コロナ禍のときの「37度」を基準にした発熱判断の目安が強く印象に残っていて、37度は「高熱」といったイメージを持つ人が少なくないようです。
その原因には、体温計が関係しているといわれています。体温計といっても現在の電子体温計や耳式体温計といった最新のものではなく、今ではあまり使われていませんが、かつては一般的な体温計だった「水銀体温計」の目盛りに誤解の原因があるようです。
水銀体温計の「37」の数字だけが「赤色」で表示されているのです。そのことが、「37度は高熱」という誤解を生んだといわれています。
日本の感染症法では、37.5度以上を「発熱」、38度以上を「高熱」と定義されています。目安として37.0~37.9度を微熱としています。
体温は単なる数字ではなく、病気の有無を判断する1つの手がかり。ふだんの自分の体温を知っておくことが重要といわれます。
人間の体温は何度まで上がるの?
ところで、人間の体温は何度まで上がるのでしょうか?
そのヒントも水銀体温計にあるようです。水銀体温計の目盛りは最高で42度までしか表示されていません。それが体温の限界といわれます。
通常、かぜのウイルスなどによる免疫反応では、ウイルスを弱体化するために必要な体温が脳によって設定されるので42度を超えることはないといいます。
ただ、暑い時期に熱中症が重篤化して、体温が限界を超えて上昇することがあるのは、汗をかくことによる体温の調節機能が失われてしまうからといわれています。
42度は人間の生死を分ける「生命の危機的ライン」「限界体温」とされています。
体温が42度を超えると人間の体を作っているタンパク質が固まってしまい、生命を維持できないからだといわれています。
<参考>
*「体温を上げて免疫力アップ」(沢井製薬株式会社)
*「37℃は平熱ですか?」(テルモ体温研究所/テルモ株式会社)
*「体温の平均は?」(シチズン・システムズ株式会社)
*「熱中症ゼロへ〜発熱のメカニズム」(一般財団法人日本気象協会)
*「知ってなっとく からだの疑問」(小学館)