
「孤独」は病気や早期死亡のリスクを高める?
健康を大きく損なう可能性があるといわれる「孤独」。国もその実態把握に乗り出したようです。
孤独は命に関わる病気や早期死亡のリスクを高めるとの海外の研究も報告されています。
「孤独」を感じること、ありますか?
「孤独」や「孤立」の健康への影響は深刻
新型コロナウイルスの流行によって若者、高齢者の区別なく社会全体が「孤独」や「孤立」を深めたといわれています。
孤独と孤立はよく似ていますが、意味は違います。
政府の検討会がまとめた「孤独・孤立対策の重点計画」によると、「(望まない)孤独」は「主観的概念であり、ひとりぼっちと感じる精神的な状態を指し、寂しいことという感情を含めて用いられることがある。
他方、孤立は客観的概念であり、社会とのつながりや助けのない又は少ない状態を指す」ということです。
簡単にいえば孤独は「感情」、孤立は「状態」ということになります。
いずれにしても「孤独や孤立は『痛み』や『辛さ』を伴い、心身の健康面への影響は深刻で、命に関わる」深刻な問題であると指摘しています。
4割以上の人が孤独感を抱えている?
今では社会問題にまでなった「孤独」や「孤立」ですが、どのくらいの人がそれを感じているのでしょう。
内閣官房が行なった「孤独・孤立の実態に関する全国調査(令和4年)」によると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は4.9%、「ときどきある」が15.8%、「たまにある」が19.6%でした。一方、孤独感が「ほとんどない」人が40.6%、「決してない」人が18.4%でした。
年齢別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」人の割合が最も高いのは30歳代で7.2%、逆に最も低いのは80歳以上で2.3%でした。
ただ、孤独感が「ときどき」と「たまに」ある人の割合をそこに加えると、20歳代が最も多く合計で47.9%。30歳代の45.9%を上回りました。
男女別に見ると、「しばしば」「常に」孤独感を感じる男性が5.1%、女性が4.6%。年齢別で最もその割合が高いのは50歳代男性で7.3%、女性は30歳代で7.9%でした。
英国の若者の6割以上が孤独を感じている?
国民の「孤独」への危機感を背景に、2018年に世界で初めて「孤独担当大臣」をおいたイギリスはどうでしょうか?
イギリス政府の「孤独」に関する統計調査(Community Life Survey 2021/22)によると、孤独感が「しばしばある・常にある」は6%、「ときどきある」が19%、「たまにある」が22%でした。
全体的には日本と同じような傾向ですが、英国では16〜24歳の若年層の「孤独感」は全世代を通じて最も高いのが特徴。「しばしばある・常にある」(10%)、「ときどきある」(26%)、「たまにある」(26%)を合わせると62%にも達し、日本の同世代の43%と比べてもその多さが目立ちます。
「孤独」「孤立」は世界的な社会問題
イギリスの研究によると、「孤独は肥満や認知症、高血圧のリスクを高めるなどの健康被害をもたらし、社会的なつながりが弱いと1日15本の喫煙と同じ程度の健康への悪影響がある、社会的孤立は健康格差に影響を与える」(内閣官房「孤独・孤立対策の重点計画」より)といわれています。
また、アメリカの公衆衛生に関する記事が新聞に掲載されていました(東京新聞/2023.5.7)。それによるとアメリカの成人の2人に1人が「孤独」を感じているそうで、2020年に1人で過ごした時間は2003年に比べて月に24時間増え、友人と過ごした時間は月に20時間減ったということです。
その傾向は特に15〜24歳の若年層に顕著で、友人と過ごす時間が7割近く減少したといいます。
また「孤独」や「孤立」は早期死亡のリスクがあり、脳卒中や心疾患、うつ病を招く可能性も高いと同記事では紹介しています。
「孤独」「孤立」は単に個人的な「感情」や「状態」にとどまらず、今や世界的な社会問題になっているのは確かなようです。
<参考>
*「孤独・孤立対策の重点計画」(内閣官房 孤独・孤立愛策推進会議決定・令和3年12月28日)
*「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和4年)」(内閣官房 孤独・孤立対策担当室)
*「孤独のリスク 1日15本喫煙と同等」(東京新聞/2023.5.7)
*「世界初『孤独担当大臣』置いた英国 孤立を社会問題と見る国の取り組み」(朝日新聞GLOBE+/2020.1.8)