初夏は毛虫刺されに注意を
さわやかな新緑の季節は、ガーデニングや散歩、レジャーなど休日を屋外で楽しむことが増えてきます。
屋外で過ごす時間が増えると、虫に刺される機会も多くなります。
今回は、この季節に注意したいチャドクガのお話です。
直接触れなくても被害にあうことが
初夏は毛虫が大量発生します。こんなときに注意が必要なのは、チャドクガ(茶毒蛾)の幼虫による被害。
チャドクガとは名前の通りお茶の木につく毒を持つ蛾で、お茶の木やツバキやサザンカなどの葉に卵を産みます。幼虫は4月~6月、8月~9月の年2回発生するそうです。
気をつけたいのが、チャドクガの幼虫(毛虫)がまとう「毒針毛」。
わずか0.1~0.2mmほどの微細な毒針毛が1匹当たりなんと数十万~数百万本も密集して生えているそうなのです。
チャドクガに直接触れなくても、ツバキやサザンカなどの生垣のそばをとおると、服に付着したり、しばしば風にのってこの毒針毛にやられることがあるといいますから、知らず知らずのうちに被害にあうことも多いようです。
毎年初夏のころに起こる原因不明のカブレは、実はチャドクガが原因だったということも少なくありません。
患部をかいたりこすったりしてはダメ
チャドクガの毒針毛に刺されると、患部が赤く腫れて、しばらくすると激しいかゆみや痛みに襲われるそうです。
けれどもかゆいからと言って患部をかいたりこすったりするとほかの部分にも被害が拡大してしまったり、毒針毛が皮膚に食い込んで症状が悪化するといわれているので、要注意。
毒針毛に刺されたときは、手でこすったりかいたりしないこと。
すぐにセロテープや粘着テープなどを使って毒針を取り除いた後に、流水やシャワーを使って十分に洗い流すことが大事だとされています。
赤みやかゆみも強いそうですから、皮膚科を受診しましょう。
なお、服に付着した毒針毛は、洗濯しても残ってしまうようです。
着ていた服はあらかじめ掃除機で毒針毛を吸い取って、他の衣服とは別にして複数回洗濯するか、50度以上の熱いお湯に浸け置きしてから洗濯したほうがよいといわれています。
最大の自衛策はそばに近づかない事
やっかいなチャドクガの被害。
先にもお話したように、サザンカやツバキの木の茂みのそばを通っただけで、毒針毛が付着してしまうこともあるそうです。
チャドクガは、幼虫だけでなく卵や成虫、脱皮した殻など全期間を通じて毒針毛を持ち人を刺すといわれていますが、とくに注意したいのが幼虫(毛虫)が大量に発生する今の季節と秋口です。
最大の自衛策は、この時期はチャツバキやサザンカに近づかないことだそうです。
ツバキやサザンカは公園や学校などに生垣などに植えられていることが多いので、子どもにも注意を促してしてください。
<参考>
※「夏のかゆみ」(『栄養と料理』女子栄養大学出版部 2022年8月号)
(NHK出版 2022年3月号)
※「チャドクガについて」(世田谷区)
※「毛虫皮膚炎」(埼玉県皮膚科医会)
※「北海道の毒蛾」(北海道立衛生研究所)