ドライアイは「たかが」な病気ではない?
いつでも誰でもかかる可能性があり、ありふれた病気といわれるドライアイ。
でも「たかが……」と侮っていると、生活の質を大きく損なうことになりかねません。
早めの対策が必要なのはいうまでもありません。
患者数が2,000万人のありふれた病気?
目が「チクチクする」とか「ゴロゴロする」と訴えると、かつては「目にゴミでも入ったんじゃないの?」などといわれたものでした。
でも今ではドライアイは、国内の患者数が1,000万人とも2,000万人ともいわれるほどの国民的病気。
「目が……」というだけで、「それってドライアイじゃない?」とキッパリと断定的な応えが返ってくるほど広く知られた存在になりました。
とはいっても、その原因や対処法が病名ほど正しく知られているとは限らないのが実情のようです。
「目が疲れただけ」「休めば大丈夫」といったような、ややもすると軽視されがちなドライアイに関する意識調査が、新聞などで報じられました。
調査によって分かったのは、患者と眼科医のドライアイに対する認識のズレだったようです。
ドライアイの認識に大きな隔たりが
報道によれば、調査を行ったのはルミナス・ビー・ジャパンという都内にある医療機器メーカーで、全国のドライアイの患者500人と眼科医100人を対象に実施したといいます(東京新聞/2023.4.26などによる)。
そこで分かったのは、患者のドライアイに対する認識の低さと同時に、病気の理解ついて患者と眼科医の間に大きな差があるということでした。
例えばドライアイの悪化の要因として「空気の乾燥や寒暖差など気候や環境の変化」を指摘する眼科医は85%なのに対して、患者は46%。また「コンタクトレンズの装用」では眼科医81%、患者25%、「ストレスもドライアイの要因の1つ」をあげたのは眼科医67%、患者36%といったように、両者の認識には大きな隔たりがみられたということです。
眼科医のアドバイスが患者に届かない?
ではドライアイの症状を改善するための眼科医のアドバイスはきちんと患者に届いているのでしょうか?
これについても両者の間に大きな認識の隔たりがみられるようです。
例えば「スマホやパソコンの利用は時間を決めて」と眼科医の68%がアドバイスしているのに、患者の33%は受けた認識がないと回答。「部屋が乾燥しないように」というアドバイス(83%)に対しては、「受けた」とする患者の認識はわずか26%でした。
他にも「まばたきを意識的に増やす」(眼科医62%、患者21%)、「コンタクトレンズからメガネに変える」(眼科医64%、患者14%)、「目を温めたりマッサージをする」(眼科医65%、患者27%)、「アイメークをきれいに落とす」(眼科医41%、患者3%)など、眼科医のアドバイスが患者にきちんと届いていないケースが目立つようです。
ドライアイ悪化要因の3つの「コン」
ドライアイは文字通り目を潤している涙が乾くということですが、それによって目がショボショボする、ゴロゴロする、目が開けにくい、ものがかすんで見えるといった目の不調がみられるものといわれています。
ドライアイを悪化させる要因には様々あるようですが、公益財団法人 日本眼科医会では、エアコン、コンタクトレンズ、コンピュータを3つの「コン」と呼んで使用する際の注意を促しています。
ドライアイを放置すると、目の表面が傷ついて細菌やウイルスに感染(角膜炎や結膜炎)を起こしやすいといわれています。
ドライアイだけで失明することはないといわれていますが、モノが見えにくいなどの不快な症状は生活の質を低下させる原因にもなります。
目に不快を感じたら、単なる「目の疲れ」と軽視しないことです。
<参考>
*「ドライアイも適切な治療を」(東京新聞2023.4.26)
*「ドライアイ患者さんと医師の治療に関する意識調査〜ルミナス・ビー・ジャパン プレスリリース〜」(共同通信PR Wire)
*「ドライアイに悩む方へ」(公益財団法人 日本眼科医会)
*「『ドライアイ』の原因・症状・予防法」(ロート製薬株式会社)