ウイルスは乾燥と低温がお好き?
新型コロナとインフルエンザの同時流行が騒がれていますが、注意したい冬のウイルスはこれら以外にもいくつもあります。
ウイルスの疑問と寒い季節ならではのウイルス対策を考えてみました。
寒い冬はウイルスの活動期
新型コロナウイルス対策が冬の感染症の予防にも効果を発揮したのかどうかよく分かりませんが、新型コロナの流行以降、インフルエンザにかかる人が激減していたようです。
でも今季は様相がだいぶ違っているようで、新型コロナとインフルエンザの同時感染が危惧されているようです。
医療機関の受診も困難になるのではという意見もあります。
ところで、気温が低く空気が乾燥している冬はウイルスの活動が活発になるといわれます。
ウイルスの感染力が強くなるいっぽうで、人間の免疫力は冬の寒さで低下。
水分の摂取量も減り、のどや気管支の粘膜が乾燥しやすくなり、ウイルスによる感染を容易にしてしまいます。
冬のウイルスはコロナやインフルエンザ以外にも?
冬のウイルス感染で代表的なのは「かぜ」です。
正式には「かぜ」は病名ではなく、「かぜ症候群」といって鼻やのどなどの上気道に炎症を起こす病気の総称だそうです。
原因の80〜90%はウイルスによる感染といわれます。
子どもに多く発症するRSウイルス感染症もかぜのウイルスの一種です。
かぜのウイルスは数百種類もあるといわれ、インフルエンザや新型コロナもかぜのウイルスです。
他にもノロウイルス、ロタウイルスといったウイルスもあります。
こちらの感染症は下痢や嘔吐といった胃腸炎が特徴で「おなかのかぜ」ともいわれているようです。
ノロウイルスにはアルコール消毒は効かない
かぜ症候群などの上気道感染の多くは、せきやくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことで感染(飛沫感染)したり、ウイルスが付着した手指を介して感染(接触感染)するといわれています。
ノロウイルスやロタウイルスなどによる急性腸炎も主に飛沫感染と接触感染によるものといわれます。
これら多くの感染症の予防には手洗いや手指の消毒、マスクの着用などが大切とされていますが、一般に使われているアルコール消毒はノロウイルスには効果がないということです。
次亜塩素酸ナトリウム(家庭用の塩素系漂白剤)を希釈(200倍程度)した溶液を使うのが効果的とされています。
トゲトゲしたウイルス、自己増殖ができない
新型コロナウイルスの映像やイラストをテレビなどでよく放映していたので、その独特な形状を覚えている人も多いでしょう。
表面にトゲトゲした突起がたくさんあるのが印象的でした。
このトゲトゲはスパイク(レセプター結合部位)と呼ばれ、人間の細胞と結合して内部に侵入し感染を引き起こすとされています。
ウイルスと同様に「バイ菌」の仲間である細菌とどう違うのか?
細菌にはウイルスのようなトゲトゲはなく、細胞膜や細胞壁、DNA、たんぱく質を合成する仕組みを持つ「生物」で、栄養と水分があれば細胞分裂を繰り返し自己増殖ができます。
しかし、ウイルスは細菌のような細胞を持たず、遺伝子とたんぱく質の殻しかなく、自分で増殖することができず、人間や動物を宿主にして、その細胞に入り込むことでしか増殖ができません。
そんなことからウイルスは「生物」ではないともいわれます。
とはいえ天然痘、麻疹(はしか)、インフルエンザ、そして今、新型コロナ……ウイルスと人間は有史以来の長~い付き合い。これからも終わりなき闘いと共生の歴史を繰り返すに違いありません。
<参考>
*「キッズ・メディカ安心百科 子ども医学館」(小学館)
*「病気と医療の知って得する豆知識」(沢井製薬株式会社)
*「アルコール消毒に頼りすぎないで、ノロウイルスによる感染症や食中毒に注意!」(消費者庁)
*「細菌とウイルス」(国立国際医療研究センター)
*「細菌とウイルスの違い」(花王株式会社)