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野菜と果物でがんを予防できる?

野菜や果物は健康のために必要な食べ物だということはほとんどの人が知っています。

けれども毎日食べるとなると「むずかしい」というのが本音。でも「がん予防に効果がある」と聞けば「じゃあ!」という気になるかも。

 

2人に1人がかかるがんは予防できる?

がんは日本人の2人に1人がかかる病気だというのは、いまでは誰でも知っていることかもしれません。

死因の第1位でもあります。

国立がん研究センターがん情報サービスによると、男性の4人に1人(26.7%)、女性の6人に1人(17.9%)が何らかのがんで亡くなっています。

 ただ、早期に発見し、適切な治療を受ければ、がんは治る病気という考えが最近では広まってきているようです。

 とはいっても、やはりがんは怖い病気であることに変わりはありません。が、すべてのがんは無理としても、多くのがんは予防できるというのも事実のようです。

予防ができるのであれば、それをしない手はありません。

 たとえそれが確実に約束されていないにしても……です。

 

野菜と果物の摂取と、がんの死亡リスクの研究

そんななか「野菜と果物をたくさん食べると、がんによる死亡リスクが低下」という研究結果がいくつかのメディアで報道されました。

 国立がん研究センターと横浜市立大学などによる研究グループが、全国の40〜60歳代の約9万5,000人を対象に、およそ20年間にわたって追跡調査したものです。

それによると野菜と果物を多く食べる人は、少ししか食べない人に比べてがんで亡くなるリスクが約10%低くなるというものです。

報道によると、果物を多く食べる人では8~9%、野菜を多く食べる人では7~8%、それぞれ摂取が少ない人と比較してリスクの低下がみられたそうです。

ただ、野菜と果物の摂取量が多ければ多いほど、がんになるリスクが低下するわけではないと研究グループでは話しているとか。

望ましい摂取量の目安として、研究グループは野菜は1日300グラム以上、果物は140グラム以上と推定しているそうです。

 

野菜と果物を食べるとがんのリスク低下?

国立がん研究センターのがん情報サービスでは「日本人のためのがん予防法」として5つの健康習慣である禁煙、節酒、食生活、身体活動、適正体重の維持を紹介しています。

その中の「食生活の見直し」では野菜と果物を食べることを勧めています。

厚生労働省の「健康日本21」では、1日あたり野菜を350グラム、果物と合わせて400グラム、農林水産省などでは果物1日200グラムを摂取の目標としています。 

ただ、それまで「野菜と果物は健康によい」と、なんとなくいわれていましたが、がんのリスクが低下するとまでは言い切れなかったようです。

それが前述の大規模調査の研究グループによってがんのリスク低下が明らかになったわけで、研究グループは「野菜や果物が健康によいことが科学的に評価できた」と語っているそうです。

 といって、野菜ばかり果物ばかりの極端な偏食は禁物。他に肉や魚、お米やパンなど、食のバランスを忘れないで……。

 

<参考>

*「最新がん統計」「がんの発生要因」「科学的根拠に基づくがん予防」((国立がん研究センター・がん情報サービス)

*「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」(厚生労働省)

*「野菜や果物多くとる人は死亡リスク10%近く減」(NHK NEWS WEB/2022.9.8)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。