
「飛び恥」って何が恥ずかしい?
環境意識が高まっているヨーロッパでは今、「飛び恥」が広まりつつあるようです。「飛ぶのが恥ずかしい」って、いったい空に何が起きているのでしょうか……?
飛行機に乗るのがなぜ恥ずかしいの?
「飛び恥」という言葉をご存知でしょうか。「飛ぶのが恥ずかしい」ということらしいのですが、この場合の「飛ぶ」とは飛行機のことで、つまり飛行機に乗るのは恥ずかしいという意味です。
なぜ……どうして飛行機に乗るのが恥ずかしいのでしょう?
地球の温暖化と深い関係があります。
飛行機は多くの二酸化炭素などの温室効果ガスを排出するといわれているのです。
二酸化炭素の排出量は輸送機関によって違うのですが、1人の人間を1キロ運ぶのに排出される二酸化炭素の量は、飛行機は鉄道(19グラム)の約6倍(111グラム)もあります(国土交通省「輸送量当たりのCO2排出量」平成17年度)。
ちなみにバスは鉄道の約2.7倍(51グラム)、自家用車は約9倍(173グラム)もあります。
そんなことからヨーロッパでは、飛行機は地球環境に負荷をかける「やさしくない」移動手段と考えられているのです。
航空会社が鉄道の利用を呼びかける?
代わりにヨーロッパの人々の人気を集めているのは鉄道だそうです。
とくに夜行列車を移動手段として利用する人が増えているといいます。
鉄道より飛行機のほうが移動時間は圧倒的に早いし便利なのですが、化石燃料(ジェット燃料)による温室効果ガスの排出量を考えると……というわけでしょう。
路線や運行本数を広げる鉄道会社もあるといいます。
鉄道運賃を下げる国も出始めたようです。
航空会社も危機感を強めているらしい。
KLMオランダ航空は短距離の移動については鉄道を使うようにと利用者に呼びかけたということです。
異例なことといえます。
地球温暖化の深刻さがうかがえます。
日本で「飛び恥」は非現実的?
一方、日本にはそのような動きはなく、むしろ鉄道会社は旅客専用の定期夜行列車を次々に廃止してきました。
残っているのはわずか2本だけです。
「飛び恥」は日本ではほとんど広がっていないようです。
地続きのヨーロッパは鉄道による国と国の移動が容易ですが、日本は島国で、海外への移動は飛行機が一般的。
「飛び恥」は現実的ではないようです。
ただ今後、温室効果ガスへの国際的な規制は強まりそうです。
「今のままではいけない」という機運も高まるのではないでしょうか。
ちなみに「飛び恥」という言葉が生まれたきっかけはスェーデンの高校生で環境活動家グレタ・トゥーンベリさんだそうです。
彼女は地球の温暖化対策を訴えています。
気温の上昇は栄養不足や感染症など、人間の健康に大きな脅威になるといわれています。
<参考資料>
*「環境に優しい夜行列車が復活」(朝日小学生新聞/2019.9.26)