
人工肉は地球を救う?
人工肉の研究、開発が進んでいるらしいです。
耳慣れない言葉にゾッとした方も多いのではないでしょうか。
背景には地球温暖化との関連もあるらしいのですが……?
ゲノム編集食品の次は人工肉?
人工肉……お世辞にも「食べたい」とか「おいしそう」とは思えない印象ですが、この人工肉が日本の大学と大手食品メーカーの共同開発で実用化に向けて研究されているようです。
元日の東京新聞(2020年1月1日付)に紹介されていました。
そうでなくても、遺伝子組み替えとかゲノム編集食品など、食品の品種改良の進化はとうてい筆者のような凡庸さでは容易に理解しがたいものがあります。
そこへきて今回の「人工肉」です。
食品の世界も複雑怪奇になってきました。
あらたな領域に踏み込んだといっていいかもしれません。
畑を耕して種をまいて、苗を育てて、実を付けたら収穫する……といったいままでの牧歌的な農業とはほど遠いイメージです。
同時に「食べても大丈夫?」「果たして安全なの?」「健康被害は起きないのか?」といった不安も強くわいてきます。
牛のげっぷ、おならに温室効果
研究されている人工肉は牛肉で、報道によると再生医療の方法を応用してつくられているとか。
記事によると「牛の筋肉の細胞を培養液に浸し……云々(途中省略)……肉ができている」らしいです。
なぜ牛肉なのでしょう?
ここがポイントなのですが、同新聞によると「国連食料農業機関によると、温室効果ガスの約15%は家畜が占め、3分の2は牛由来」なんだそうです。
牛が出すげっぷやおならに含まれるメタンに温室効果があるということらしいです。
温暖化の原因といえば二酸化炭素(CO2)が有名ですが、牛のげっぷとおならに含まれるメタンは、その25倍もの温室効果があるということです。
精進料理は「もどき」の宝庫
そんなことから環境問題に敏感な欧米では豆などを使った代替肉がブームのよう。
いわゆる「肉もどき」なんでしょうが、でもちょっと待てよ……この「もどき」の世界では日本は先進国といえます。
なんといっても究極の「もどき料理」ともいえる精進料理を発展させた国ですから。
精進料理は動物の肉類の代わりに野菜(ネギやニンニク、タマネギなど匂いの強い五葷を除く)や穀物を使う料理です。
精進揚げは野菜の天ぷらのこと、けんちん汁は肉は使わず野菜だけ、がんもどきは雁の肉の「もどき」です。
高野豆腐に湯葉、こんにゃく、豆腐、しいたけなど、精進料理はもどき食品の宝庫。
肉もどき研究の背景には温暖化?
最近本も出版されて有名になった「ちくわぶ」は関東を中心にした地域限定食品で、名前は竹輪をかたっていますがまるで別物。
魚肉が原料の竹輪に対してこちらは小麦粉を練って作った正真正銘のもどき食品。
他にもカニもどきのかまぼこ類は種類も豊富で今や食卓には欠かせません。
ウナギもどきにホタテもどき、おからのハンバーグ、大豆の唐揚げ……もどき食品は際限なくありそうです。
ということは……もしかして世界の認識とは逆に、日本は温暖化に配慮している?
……などと考えるのは短絡かもしれません。
つまり人工肉の研究、開発をしなければならないほど、地球の温暖化は深刻だということです。
でもやはり人工より天然がいいかも……。
<参考>
*「人工肉開発、背景に温暖化」(東京新聞/2020.1.1)