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増えている「アニサキス」食中毒被害

毎年春3月から5月ごろにかけては上りガツオの水揚げの時期。

おいしい初ガツオを食べられる時期がやってきましたね。

でも、ちょっと気になるのがアニサキスのことなんです。

 

魚に棲みつく寄生虫

アニサキスは、魚の内臓に棲みつく寄生虫の一種。

その幼虫は長さ2~3cmほど。

白っぽい少し太い糸のように見えるそうです。

アニサキスの幼虫が寄生した魚を、生または生に近い状態で食べると、アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に侵入してアニサキス症(食中毒)を引き起こすことがあるそうです。

 

芸能人が相次いで発症したことも

過去においては、タレントの渡辺直美さんやお笑いコンビ「品川庄司」の庄司智春さん、「南海キャンディーズ」の山里亮太さんらが相次いでアニサキス食中毒被害にあって話題になり、あらためて注目されました。

 

みぞおちやおなかに激痛が

症状は、食後数時間から10数時間後に、みぞおちの激しい痛みが出現し、悪心、嘔吐などを伴うことが。

胃を通り越して小腸にたどり着いた場合は、食後10数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状などを生じるそうです。

お笑いタレントの渡辺直美さんは、「激痛すぎて病院で泣きました」とツイッターしたそうですから、その痛みは相当なもののようです。

 

食中毒の原因のトップに!

実は、近年アニサキスによる中毒の報告が急増中なんです。

厚生労働省の報告によると、アニサキスによる食中毒の報告件数は、2014年は79件、2016年は124件と増加傾向が続いていましたが、2018年はその数468件に!

なんと食中毒の原因のトップになりました。

 

予防対策は?

アニサキスが寄生する魚は、カツオのほかにもサバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマなどがよく知られています。

アニサキスは魚を酢でしめたり、しょうゆやわさびをつけても死なないそうです。

対策としては、魚は70度以上で加熱するか、マイナス20度以下で24時間以上冷凍すれば問題ないといわれています。

消費者ができる予防対策として、厚生労働省は、新鮮な魚を選んで購入し、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除く。

生で内臓を食べないこと。

目で見てアニサキスを除去すること。

などをすすめています。

予防対策をしっかり行って、旬の魚をおいしく食べたいものですね。

 

 

<参考URL>

*「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html

 

*「食中毒統計」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html

 

*「アニサキス症」(食品安全委員会 内閣府)

http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/factsheets_anisakidae.pdf

 

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。