プラスコラム
PLUS COLUMN

気をつけて! お肌の乾燥注意報が出ています

寒くて空気が乾燥する季節は、お肌の乾燥が気になりますよね。加えてオフィスの暖房の風にさらされて、気がつくと目はショボショボ、お肌はカサカサ状態に。この時期は、いつも以上にていねいな保湿ケアが重要になります。

乾燥肌が敏感肌をつくる

のどやお肌の健康を考えると、湿度は60%をキープすることが理想的。けれども、冬は1年を通して空気がもっとも乾燥する季節。暖房でポカポカにあたためられた室内では、湿度30%以下ということもザラにあります。肌を取り巻く環境は、1年の中で今がもっとも厳しい季節なのです。
とくに、夏から秋に肌のダメージを抱え、皮膚のバリア機能が低下したまま冬を迎えた人は、気温が下がるにつれていっそう肌のカサつきを自覚することになります。


ところで、うるおい不足の肌とはどんな状態になっているのでしょうか。
そもそもうるおいのある健康な皮膚の表面は、きれいに整列してキメの整った角質層と、汗と皮脂が混ざりあって出来る天然の保湿クリームである「皮脂膜」がおおって、皮膚にバリアをつくっています。
ところが、肌が乾燥すると角質層がめくれあがり、天然のクリームである皮脂も不足して、肌のうるおいが容赦なく奪われていきます。外からの刺激に対しても無防備になりますから、肌荒れを起こしてかゆくなったりヒリヒリしたりと、さまざまな肌トラブルが起こってきます。これが乾燥性の敏感肌です。
さらに、肌の乾燥にともなって、しわやたるみなどの肌老化も進んでいきます。

角質層と皮脂を守って「肌力」をつけよう!

乾燥肌を撃退するためには、何より皮膚のバリアをつくっている「角質層と皮脂膜を守り抜くこと」がポイントです。ふだんのスキンケアを見直して、冬の乾燥に負けない「肌力」をつけましょう!

■冬こそ水洗顔が大事

角質層をおおって肌の水分を閉じ込める働きをしているのが皮脂膜。皮脂は、もっとも自分にあった保湿成分で、皮膚を守る力はどんな高級な化粧品にもかないません。
冬場は肌の血行や新陳代謝が悪いので、皮膚の天然クリームである皮脂の分泌がいつにもまして減っています。そんな大切な皮脂膜を、お湯で洗い流すといったダメージ洗顔法で落とさないように注意をしてください。
冬はついお湯で洗顔しがちですが、お湯は皮脂や角質細胞間脂質を流してしまう働きがあります。加えて、洗顔料を使って何度も洗顔していれば「守りの皮脂」が落ちて、乾燥肌がどんどん進んでしまいます。洗顔料を使うなら1日1回程度、朝の洗顔は素洗いで十分です。そして肌本来のうるおいを保つために、寒い冬こそ水洗顔をしてください。

■お肌がパリパリになる前に、とにかくこまめな保湿を習慣に。

目のまわりやほおのまわりなど、乾燥しやすい部分を中心に、徹底保湿をしていきましょう。昼間はファンデーションの上からでかまいません。乳液やクリームなどでこまめに保湿をしてください。肌の乾燥が強いときは、化粧水も使い、その上から乳液やクリームを塗っていくとよいでしょう。

 

■いつもの化粧品がしみるときは、使用を1回お休みして

肌の乾燥が強くなると、ふだん使っている化粧水や洗顔料が突然しみて、ピリピリしたり、かゆくなったりすることがあります。これは皮膚のバリア機能が落ちて、肌が敏感になっている証拠。かぶれを起こしている状態です。こんなときは、使い続けてはダメ。炎症がどんどん悪化してしまいます。使うのを1回お休みするか、あるいは別のものを使うとよいでしょう。
化粧水でかぶれを起こしたときは、しみる部分にはワセリンを塗って肌を保護。それ以外の場所は乳液やクリームだけをつけるようにします。カサカサしたときの皮膚の保護は、クリームよりもワセリンなどの軟膏基材がおすすめです。軟膏基材のものはテクスチャーが硬いので、一度手にひらにとって十分に練って人肌であたためてから塗ると使いやすいでしょう。バリア機能が弱った角質層は、とにかく保護することが大事です。

■体の保湿対策も忘れずに!

冬は、顔に限らず体も乾燥もしていて、足のすねや腕などが白い粉をふいたようになる人もいるでしょう。白い粉の正体は、乾燥により皮膚からバラバラとはがれ落ちてしまった角質です。冬はボディの保湿ケアをよりいっそう心がけましょう。
また、乾燥を防ぐには入浴の仕方も大きなポイントになります。お湯は皮脂やセラミドなどの角質細胞間脂質を流してしまうので、熱いお湯に長くつかっていると皮膚の乾燥が進みます。お風呂の温度は、38℃~39℃に。冬も40℃までがベストです。ただし、ぬるいからとずっとお風呂につかっていると皮膚がふやけて角質層がとれていきます。そんなときに、石けんで体をゴシゴシ洗うと、角質が取れて皮膚がぼろぼろになってしまうので気をつけて。


お風呂は体をあたためたり、リラックスしたいなどさまざまな目的がありますが、お肌のうるおいを守ることを考えるなら、ぬるめのお風呂に入り長湯しないことがおすすめです。ゆっくりと入りたいという人は、石けんで体を洗わずに、お風呂につかるだけにするとよいでしょう。入浴後は、体に湿り気があるうちに、全身にくまなくボディクリームやローションを塗って十分に保湿をしてください。

■体の内側からも水分補給

冬は、肌の乾燥にともなって、顔のたるみも目立ってきます。外側からの保湿ケアも大事ですが、まずは体内にきちんと水分を取りこんで、細胞内に水を戻さないとダメ。そのためには、水分補給がとても大事です。細胞組織にすばやく水分を補給するなら、スポーツ飲料が適しています。ただし、スポーツ飲料は糖分が高いので飲みすぎに注意を。カロリーをチェックしながら飲むとよいでしょう。そのほか白湯や麦茶などもおすすめです。


コーヒーや紅茶、緑茶などカフェインを含む飲み物は、利尿作用が強いために飲んだ分以上に体から水分が出て行ってしまうので、水分補給には適していません。
なお、「水分をたくさんとると、むくむ」というのは誤解です。むくみの原因は、冷え、運動不足、水分不足による脱水状態により起こります。
正しい水分補給を心がけて、体の内側からもうるおいを保ちましょう。

プロフィール

平田 雅子 先生
皮膚科医
平田 雅子 先生

私のクリニック目白 院長 日本大学医学部卒。皮膚科専門医。

東京医科大学、同大学八王子医療センターを経て、2003、10月から現職。
女性専門医療の第一線で活躍中。
女性医療ネットワーク理事。
日本医師会産業医。
女性の悩みをきちんと聞くことを心がけた診療に定評がある。

関連キーワード