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毛穴のお話

今回は、洗顔に引き続き、意外と誤解の多い毛穴ケアについてお話しします。毛穴の黒ずみの多くは、汚れではなく伸びてこない産毛。毛穴の汚れを取るパックをピリピリとはがしたとき、パックに黒く点々とついてくることがありますが、これは産毛なのです。

毛穴の黒ずみの正体は・・・

年齢を問わず、肌の悩みの上位に必ずあがってくるのが毛穴のこと。女性はもちろん、男性も毛穴が気になる方が多いようですね。今回は、洗顔に引き続き、意外と誤解の多い毛穴ケアについてお話しします。


まず、毛穴の悩みのトップにあがるのが、ポツポツ目立つ毛穴の黒ずみ。「黒ずみの犯人は、毛穴に詰まった汚れだ!」とばかり、朝晩スクラブ洗顔でゴシゴシ洗って、その後は毛穴の汚れを取るパックやピーリング入り化粧品でお手入れしているという人もいます。
でも、毛穴の黒ずみの多くは、汚れではなく伸びてこない産毛。毛穴の汚れを取るパックをピリピリとはがしたとき、パックに黒く点々とついてくることがありますが、これは産毛なのです。また、パックにつららのようについてくるものは、古くなった皮脂。皮脂は酸化すると黄色っぽくなるので、汚れのように見えるのです。

ピーリングのしすぎに注意して!

ピーリングやパックで毛穴ケアをしてもよいのですが、しすぎは禁物。自宅で毎日のように行っていると、肌を守ってくれる大事な角質もとれて、肌を傷める原因になったり、皮膚が薄くなってしまいます。
角質はとかく悪者扱いされますが、実は肌を守る大切な役割をしています。表皮には、免役をつかさどる細胞がたくさんあって、外から異物や抗原が入らないように肌のバリアをつくっていますから、一番表にある角質を取りすぎてはダメ。自宅でピーリングや毛穴パックを行うなら、月に1~2回程度にしましょう。


ところで、余談になりますが、患者さんとお話していると、皮脂を嫌って1日中あぶらとり紙を使っているという方がいます。過剰に使うと、肌の水分をキープするための必要な皮脂まで取ってしまい、肌の内部が乾いてしまいます。あぶらとり紙は、化粧直しのときに軽く使うか、テカりが気になるときは、ティッシュを折って、軽く皮脂をとるだけで十分です。

蒸しタオルでは毛穴は開かない

毛穴の汚れを取るために、蒸しタオルを使うという人も多いですね。蒸しタオルで毛穴が開く、と思われがちですが、毛穴はゆるませることはできても、完全に開かせることはできません。ただし、蒸しタオルを使うことによって汗腺は開くので、汗腺の汚れは出てきます。
毛穴はゆるませると開きやすくなるので、ひんぱんに皮膚を冷やして毛穴をゆるませないようにしたいものです。そういう意味からも、私は患者さんに水洗顔をおすすめしています。

毛穴が目立つ原因とは

さて、毛穴が目立つという悩みもありますよね。そういう部分を拡大して見てみると、毛穴ではなく、にきびや炎症が起こって、皮膚が凹んでいたりします。つまり、毛穴が大きくなっているように見えても、実は表皮の凹みだったりします。 こういう場合は、マッサージや皮膚科で行うピーリングなどで時間をかけてケアをすると、凹みが目立たなくなってきます。
そしてもうひとつ。毛穴が目立つ原因は、肌のたるみによるものがあります。肌表面がたるみ、重力によって下に落ちてくると、毛穴も楕円形になります。そのために毛穴が目立ってくるのです。

階段を上り下りしたり走ったりするときに、頬が揺れている感じがする人は要注意。肌がたるんで下がっている証拠です。

年齢を重ねると肌のたるみは避けられません。でもマッサージをしたり顔の表情筋を鍛えることで、たるみのスピードをゆるめることは可能です。マッサージは髪の生え際から斜め上に皮膚をもち上げるような気持ちで行うとよいといわれています。また、頭皮と顔の皮膚はつながっていますから、頭皮が硬いと顔の皮膚も落ちてきます。頭皮マッサージもぜひ試してください。
そのほか、よく噛んで食べる、よく笑うといったことで表情筋がひんぱんに動きます。笑顔は全身をリラックスさせ、免疫力を高めるともいわれていますから、いいことがいっぱい。笑顔美人を目指しましょう!

プロフィール

平田 雅子 先生
皮膚科医
平田 雅子 先生

私のクリニック目白 院長 日本大学医学部卒。皮膚科専門医。

東京医科大学、同大学八王子医療センターを経て、2003、10月から現職。
女性専門医療の第一線で活躍中。
女性医療ネットワーク理事。
日本医師会産業医。
女性の悩みをきちんと聞くことを心がけた診療に定評がある。