プラスコラム
PLUS COLUMN

キケン! 睡眠負債のダメージ

「睡眠負債」という言葉、聞いたことありませんか? テレビや雑誌で取り上げられて話題になりました。簡単にいえば「日ごろの寝不足が負債(借金)のように積み重なり健康をおびやかす」ことらしいです。

 

あなたの睡眠時間は足りていますか?

 

日本人は睡眠不足ぎみ

日本人は慢性的な寝不足におちいっているようです。厚生労働省の調査によると睡眠時間が6時間未満の人は、39.5%(2015年:20歳以上の男女)もいることが分かりました。さらにこれらの人のうち約5割が「日中、眠気を感じる」と答えています。

 

何時間眠れば十分かは人それぞれ違うので一概にいえませんが、たとえばフランス人の平均睡眠時間は8.7時間、アメリカ人は7.5時間だそうです。世界的にみても日本人の睡眠時間の短さがよく分かります。

 

理想的な睡眠時間と不足のダメージとは?

睡眠時間には個人差もあったり、年齢によって違うらしいけれども、20〜30歳代の若い世代では7〜8時間程度は必要だそうです。そうすると、たとえば睡眠時間が6時間の人は、毎日1〜2時間ほどの睡眠が不足していることになります。

 

こうした睡眠不足が積み重なるとどうなるか?

「睡眠負債」におちいることになるのだそうです。

 

「睡眠負債」というのは睡眠研究の分野の言葉で、毎日の睡眠不足が借金(負債)のように積み重なって、自分でも気づかないうちに仕事や生活の面に悪影響を及ぼすことがあるといいます。仕事の能率が低下したり、単純なミスを連発したり、将来、さまざまな病気にかかるリスクが増大するといわれています。

 

睡眠時間がいつもより2時間以上長ければ「睡眠負債」?

「寝不足分は休日に寝だめして解消しているから大丈夫。睡眠負債なんて関係ない」……ふだんから寝不足気味の人の多くはそう思うかもしれません。でも「寝だめ」では睡眠の借金を返すことはできないそうです。

 

一気に不足分を補おうと長い時間寝たとしても、逆に睡眠リズムが乱れて、ふだんの睡眠の質が落ちてしまい、負債を新たに抱えるおそれがあるといいます。

 

では、どうすれば睡眠負債を返済できるのでしょうか。

地味ですが、「毎日コツコツ返す」ということらしいです、やっぱり……。

 

睡眠時間が6時間であれば、1〜2時間ほど寝る時間を早めるなど、生活習慣を見直していくことが必要らしいです。

 

あなたの睡眠負債をチェックしてみよう

自分が睡眠負債を抱えているかをチェックするにはどうすればいいでしょうか?

 

週末や休日など、朝起きなければならない理由がなく、寝室に光が入らない環境のもとで寝たときに(二度寝してもいいらしいです)、ふだんより2時間以上睡眠が長くなる人は睡眠負債を抱えているといいます。

 

睡眠負債があると、体は自然にふだんの睡眠の借金を返そうとするらしいのです。

 

もっとざっくりいえば、休日にいつもより遅くまで寝ているようなときは睡眠負債のリスクがあると考えたほうがよさそうです。

 

単なる寝不足と侮るなかれ。睡眠の借金も積もり積もれば、ときには命にかかわる重大な病気を引き起こします。

 

「寝るほど楽はなかりけり」……十分な睡眠を取りましょう。

 

 

<参考資料>

*「『睡眠負債』のツケは60歳過ぎて回ってくる」(週刊ポスト2017.7.7/小学館)

 

<参考URL>

*「平成27年国民健康・栄養調査」(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000142359.html

 

*「『睡眠不足を甘く考える人』が払う体への代償」(東洋経済オンライン)

http://toyokeizai.net/articles/-/164998

 

*「ちゃんと眠れていますか? 働き盛りが危ない「睡眠負債」(Yahooニュース)

https://news.yahoo.co.jp/feature/634

 

*「NHKスペシャル 睡眠負債が危ない」(NHKオンライン)

http://www.nhk.or.jp/special/sleep/

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。