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脳は三日で飽きる!三日坊主の正体

ダイエットや禁煙、運動、貯金、ブログなど「今年こそ○○するぞ!!」と新年に誓いを立てた人も多いことと思います。固い決意で誓った今年の抱負、ちゃんと続いていますか? 中には文字通り三日坊主で終わってしまって、深~い挫折感を抱えている人もいるのではないでしょうか? でも、あまり自分を責めないで。そもそも「三日坊主」は自然な脳の働きのようなのです。

 

飽きてやめてしまうか、面倒くささに慣れて習慣化してしまうか

固く決意したのに、つい挫折してしまった……三日坊主はだれもが経験する身近な問題ですね。こんなときには、誰でもガックリするものですが、東京大学薬学部教授の池谷裕二さんは著書の中で「三日坊主は当然。続けられないのは、脳が飽きっぽくできているから」だと述べています。もともと脳は、新しい環境や刺激に対して大きく反応して活性化するのですが、繰り返される刺激に対しては次第に活性化しなくなっていくそうです。これは「馴化(じゅんか)」といわれるもの。

つまり、やる気になる→馴れる→マンネリ化するというわけ。マンネリ化の先は「飽きて面倒くさくなって止めてしまう」か「面倒くささに慣れて習慣化する」の2つの結果に分かれるそうです。つまり「飽きてやめる」のも「習慣化して続く」のも、もとをただすと同じ脳のしくみからきているのです。
また、池谷教授によると、やる気スイッチをONにするには「とにかくからだを動かしてしまう」「いつもと違うことをする」「成功のイメージを具体的に描いてなりきる」「自分にご褒美をあたえる」ことが、ポイントだといいます。

三日坊主でやめてしまうのか、それとも習慣化できるかには、ひとえに脳をどううまく騙すかにかかっているようです。
 

失敗したとたん、破れかぶれになる「どうにでもなれ効果」

もうひとつ脳が飽きたときの最大の敵は、「0か100」か――つまりオールオアナッシングの思考パターンではないでしょうか。この思考パターンの危険なところは、計画がダメになったとたんにやけくそになって行動してしまうこと。

心理学の用語に「どうにでもなれ効果」というものがあるそうです。これは、たとえば、ダイエット中にケーキを一口食べてしまったとき「失敗した。え~い、こうなったら全部食べてしまえ」とケーキを1ホール食べてしまったり、禁煙中にタバコを1本吸ってしまったとたんに、続けざまにタバコを吸って、禁煙前よりヘビースモーカーになってしまう行動。思い当たる人も多いのではないでしょうか。
三日坊主で終わってしまっても、大切なのは「やぶれかぶれになったりしないで、あきらめずに再チャレンジすること」かもしれません。三日坊主で終わった人は、肩の力を抜いて、もう一度チャレンジしてみませんか?  そして今度は悲壮な決意ではじめるよりも「脳は飽きっぽいのだから続かなくてあたりまえ」くらいの気楽な気持ちではじめてみてはどうでしょうか?
 


<参考資料>
・のうだまーやる気の秘密 』(幻冬舎:池谷修二、上大岡トメ)
・『スタンフォードの自分を変える教室』(大和書房:著ケリー・マクゴニガル、神崎朗子訳)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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