プラスコラム
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コレステロール値だけじゃない動脈硬化の危険域とは?

「コレステロール」と聞くだけでつい身構えてしまいますが、単純にコレステロール値が高いとか低いとかいうだけで異常・正常と割り切れないようです。悪玉コレステロールと善玉コレステロールのバランスが健康のカギを握っているようなのですが?

 

コレステロール値が正常でもLH比が高いと動脈硬化が?

コレステロールには悪玉(LDL)と善玉(HDL)のコレステロールがあるのはよく知られています。健康診断の結果にも中性脂肪とならんで、この2つのコレステロールの数値が記入されているのですっかりおなじみですよね。

脂質異常症という病気は、この悪玉コレステロール(LDL-C)や中性脂肪が増えるもので、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす原因になるといわれています。患者数は予備軍も含めると2,200万人もいると推定されています。

 

脂質異常症の診断基準は、悪玉コレステロールが140以上、善玉コレステロールが40未満、中性脂肪(トリグリセリド)が150以上となっています(以下、単位はいずれもmg/dl)。ところが近頃では、悪玉(LDL-C)と善玉(HDL-C)の比率が重要視されるようになってきました。

LH比と呼ばれるものです。

 

悪玉(LDL-C)を善玉(HDL-C)で割った数値(LDL÷HDL=LH比)で、それが2.0以上になると「コレステロールの蓄積が増えて動脈硬化が疑われる」らしいです。理想値は1.5以下で、「血管は健康な状態」だそうです。LH比が2.5を超えると「血管内に血栓ができている可能性があり、心筋梗塞のリスク」があるということです。

 

たとえば、悪玉(LDL-C)が120で善玉(HDL-C)が60だと、LH比は2.0で疑惑ゾーンです。悪玉が140で診断基準値ギリギリでも善玉が100だと、LH比は1.4で理想値ということになります。

でも、たとえば脂質異常症の診断基準の範囲内の数値で計算(悪玉139÷善玉39)すると、LH比は3.6で危険水域どころか完全にアウトです。どちらの数値も正常の範囲ギリギリなのに、なぜこんなことになるのでしょうか。

これはLDLとHDLの数値を単体としてとらえるのではなくて、両方のバランスをみるのが大切だということらしいです。LH比が注目されるようになったのは、そういう理由だったというわけです。

 

どうしてコレステロールが善玉と悪玉と呼ばれるのか?

ところでLDL-CとHDL-Cがそれぞれ悪玉コレステロールと善玉コレステロールと呼ばれるのはなぜでしょうか。

コレステロールは人間が生きていくうえで必要な脂質の1つですが、増え過ぎると動脈硬化などを引き起こすとされています。

そのなかでも善玉(HDL)コレステロールは、血管内にたまった余分なコレステロールをそうじしてくれるといわれます。逆に、悪玉(LDL)コレステロールは血管を通して全身にコレステロールを運ぶはたらきをしています。ところが食べ過ぎなどで血液中のコレステロールが過剰になると、血管壁にたまって動脈硬化を促すなどの悪さをするというのです。

 

悪玉コレステロール値が正常でも、善玉コレステロール値が低いと心筋梗塞を起こす危険が高いといわれています。これは悪玉(LDL)コレステロールと善玉(HDL)コレステロールのバランス(LH比)が重要だということを示しているようです。

LH比の改善のためには、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やすことが大切。でもそんなうまい方法はあるのでしょうか?次回、ご紹介します。

 

 

<参考URL>

*「LDLよりHDLに注目!! 動脈硬化性疾患の予防とLH比」(ダイヤモンド社)

http://diamond.jp/articles/-/11117

 

*「『LH比』を目安にコレステロールを見直す」(オムロン(株))

http://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/110.html

 

<参考資料>

*「知ってよかった!ホントにこわい生活習慣病早わかり」(ウェルネス・コミュニケーションズ(株))

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。