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暑さ対策で人気の涼感グッズにひそむ危険って?

暑さ対策の必需品として涼感グッズがあいかわらずの人気です。生活雑貨のお店をのぞけば、首に巻いて使う冷却スカーフや肌に貼る冷却シート、水に濡らすだけで冷感が得られるタオルなど、さまざまな商品があって、だれでも一度は使った経験があるでしょう。ただ、なかには使い方をまちがえると危険が身に及ぶことも……。とくに冷却スプレーは要注意といいますが・・?

一瞬の涼感を得るのと引き換えに身に降りかかる危険とは・・?

夏の暑さは年々、耐え難いほどになっています。原因がラニーニャ現象なのか温暖化なのかわかりませんが、気象庁によれば日本の夏の気温の上昇化は避けられない「トレンド」だそうです。

ともあれ、夏の気温の上昇とともに毎年さまざまな涼感グッズが店頭に並び売れていきます。あなたはどんな冷感グッズを使っていますか? 
 

たとえば冷却スプレーとか冷感スプレーと呼ばれるタイプは、主に暑くなった車内の冷却用として使われるほか、肌着や衣類に噴霧して涼しさを実感する人もいるようです。

ただ、多くの人は涼しさを求めるだけで使用上の危険について考えることはあまりないかもしれません。

その結果、「まさか!」なことが現実に起きるのはよくあります。冷却(冷感)スプレーの場合の「まさか!」は、爆発や火災です。

冷却スプレーにはLPGなど可燃性のガスが噴霧剤として入っています。LPGは液化石油ガスのことで、プロパンガスと呼んで、一般家庭で広く使われているおなじみのガスです。使い捨てのライターやカセットコンロのボンベのガスもLPGです。スプレー缶の噴霧剤にはほかにもDME(ジメチルエーテル)といったものがあるようです。

これらの噴霧剤はいずれも可燃性が強いものばかり。なので、冷却スプレーの表示には「火気と高温に注意」といった注意書きがあります。でもまさか、これを使ったことで爆発や火災が起こるなんて思ってもみませんよね。

冷却スプレーによる爆発の原因は・・?

こうした事故に共通するものは何か? 「タバコ」なのだそうです。

「ああ、やっぱり……」と思った方も多いのでは? 先日の新聞にも、自動車内で冷却スプレーを使ったあとにドライバーがタバコの火をつけようとしたら爆発して火傷を負ったという記事が載っていました。国民生活センターの調べでは、冷却スプレーも含めたスプレー缶の事故は2009年〜2014年(4月)まで160件起きていて、そのうち約24パーセントは「熱傷」だそうです。

 

冷却スプレーは、噴霧したときのガスが気化するときに周囲の熱を奪う気化熱を利用して空気を冷やすという仕組みだそうで、車の中など狭い空間で使うとガスがすぐに充満してしまうのでとても危険なのだそうです。

暑さから逃れようと使った結果が「灼熱地獄」というのではあまりにも悲劇的すぎます。

ほかにも冷却スプレーを肌に直接吹きかけて凍傷を負うとか、衣類にスプレーしたあとにタバコを吸おうとしたとたん「ドッカン!」といったこともあるようです。

車内だけでなく、キャンプでのテントの中、暑くなりがちな家の台所や屋外でのバーベキューコンロの近くでの使用には要注意です。また、思わずやってしまいそうなのが、酔っぱらって帰宅したあとに部屋にシューッとひと吹きしたあとの一服……ああ、想像しただけで「ゾゾッ!」と寒気がします。

 

冷却スプレーはヒンヤリ感はあるが「体温を下げる効果はない」ので「熱中症を促進させる危険がある」ともいわれます。使うか使わないかはあなた次第。でも肝心なのは、

「火気と高温に注意」という使用上の警告。くれぐれも忘れないように。

可燃性のガスを使ったエアゾール商品は、冷却スプレー以外にも制汗スプレーや殺虫剤、虫よけスプレーなど、数多くあります。

「便利さに隠れた危険」を肝に銘じておきたいですね。

 

 

<参考URL>

*「スプレー缶製品の事故に注意」(独立行政法人国民生活センター)

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20140724_1.html

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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