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「ドキドキ」体験は、ふたりの恋の起爆剤になってくれる

梅雨明け間近で、いよいよ夏本番がはじまりますね。夏の定番デートコースといえば、お祭り、花火大会、そして遊園地のお化け屋敷。どれも楽しそうですが、付き合いはじめのカップルなら、断然遊園地へ。「お化け屋敷」→「絶叫系ジェットコースター」デートをおすすめします。

 

生理的な「ドキドキ」を、恋心と勘違いしてしまう不思議

「きゃ~~」「こわいッ」――人は恐怖を感じたときに心臓がドキドキしますが、このタイミングで隣に異性がいると、その異性がとても好ましく思えてしまう傾向があるといいます。
これを心理学用語で「帰属錯誤(きぞくさくご)」というそうです。
何か起こったときにその原因を求めようとする心理作用を帰属というそうですが、それを間違った原因に意味づけしてしまうのが「帰属錯誤」。

つまり、お化け屋敷で怖いめにあってドキドキすると、このドキドキ感は隣にいる異性のせいで起こっていると錯覚してしまうそうなのです。
こ れはカナダの心理学者による学説に基づくもので、吊り橋を使った実験で実証されたとしています。実験では、独身男性を集めて2グループに分けて、それぞれ ゆらゆら揺れる吊り橋と、固定された橋を渡らせました。橋の中央には女性がいて、渡ってきた男性にアンケートを行い、後日電話をしてもらうように伝えまし た。その結果、電話をした男性の割合は、吊り橋を渡ったグループのほうが断然高かったことがわかりました。

ゆらゆら揺れる吊り橋を渡るときに「もしかしたら落ちるかもしれない」という生理的な興奮が、そばにいる異性への興奮であると錯覚し恋愛感情が芽生えやすくなるとされ、「吊り橋理論」とか「吊り橋効果」と呼ばれています。
遊園地デートで「吊り橋理論」を実践するなら、お化け屋敷とジェットコースターなど絶叫系アトラクションは絶対はずせませんね。

論理思考の男性は察するのが苦手

「察してほしい」と思う女性と「いってくれなきゃわからない」と主張する男性、こんな男女のすれ違いは、男女の感覚力の違いが原因で起こるようです。
そもそも太古の昔から子どもを産み育てるという役目をもつ女性は、相手の要求を感じ取る能力が発達しています。言葉をしゃべれない赤ちゃんの表情や泣き声で、何を求めているかを察して赤ちゃんの世話ができるのもこのためだといわれています。

 

一方、狩りをして獲物を獲ってくる役割をもっていた男性の脳は、獲物を獲るために作戦を練るといった論理的な思考にすぐれています。男性にとって「察する」能力は、あまり必要のなかったのかもしれません。
女性が何もいわなければ「それでいいのだ」と思い込みます。また、男性は女性に比べて表情を読みととることが苦手だといわれていますから、女性がムッとしていてもその心情を読み取ることができないようです。

「ドキドキ体験」は、恋のきっかけになっても長続きはむずかしい

さて、「吊り橋理論」に似たものに「ゲレンデマジック」という言葉があります。これは、スキー場で見かけた異性は何割増か魅力的に見えるというも の。このほかにも、たとえばスポーツ・ジムであったり、リゾート地など、非日常的な状況では、恋が生まれやすくなるといいます。緊張や興奮、運動などで起 こる生理的な「ドキドキ」に加え、たとえばインストラクターに対しては憧れの要素も入り込んでくるのでしょう。

もうすぐ夏休み。リゾート地の旅行を計画している人は、この夏、恋の出会いがあるかもしれませんね。
ところで、吊り橋効果は「生理的なドキドキ」を「恋愛のドキドキ」と錯覚・誤認するもの。恋のきっかけにはなりますが、付き合いはじめると「素敵に見えたのは、錯覚だったかも」と気づいて、一般に長続きしないとされています。
その後も愛をはぐくんでいけるかどうかは、ふたりの努力次第ということになります。

 

 

<参考資料>
・『恋愛心理学』(ナツメ社:匠英一)

<参考URL>
・ウィキペディア 「吊り橋理論」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8A%E3%82%8A%E6%A9%8B%E7%90%86%E8%AB%96

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。