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爪の色や形などから健康状態が判断できる?

爪の根元にある白い部分、「爪半月(そうはんげつ)」の大小で健康、不健康がわかるというのは単なる迷信だということは前回紹介しました。
では、爪そのものの状態から健康は判断できないのでしょうか。爪をよく見てみるとなんだか見えてきませんか?縦のシワや横のシワ。さらに上に反った爪、白い斑点・・・。それらは何を意味しているのでしょう?やはり「爪は健康のバロメーター」なのでしょうか?

「爪は健康のバロメーター」1日1回、爪をじっくり見てみよう

たとえば顔の色がくすんで見えたり、肌がカサカサしたり、湿疹ができたりといったときは、誰でも「どこか具合でも悪いのかしら?」と自分の健康を心 配するものです。かたくて骨のようだとはいえ、爪も皮膚の一部ですから、爪になんらかの変調が見えたら、それは体の不調が外にあらわれたものと考えたほう がいいかもしれません。

 

忙しく毎日を過ごしていると、爪をしみじみ見る余裕なんてないかもしれません。でも朝歯みがきしているときとか、お昼ごはんを食べているとき、夜テ レビを見ているときでもいいですから、自分の指の先端に小さくちょこんとはり付いている爪をじっくり見てみてください。何か変だなと思うことありますか?  

たとえば爪にできたシワ。縦に何本ものシワができていたら、老化現象のあらわれだそうです。横にできたシワやみぞは、栄養障害や体の衰弱、病気な どによって爪の成長が一時的に抑えられたことをあらわしているそうです。個人差はありますが、爪は平均で1日に0.1ミリほど伸びるといわれます。たとえ ば爪の根元から5ミリのところに横ジワやみぞがあれば約50日前になんらかの病気をしたと考えられます。

体の変調は爪の色や形にあらわれる

爪の色はどうですか? 
健康な爪はピンク色をしていますが、紫色をしていたら貧血気味かもしれません。白っぽかったり、白く濁って見えるときは貧血や爪みずむし、腎臓、肝臓の病気が疑われるといわれます。

爪の一部が濃緑色に変色しているときは、ジェルネイルやスカルプチュアネイルなどの人工爪によるカビの感染が原因といわれます。メンテナンスを怠ってつけっぱなしにしていると、人工爪と自分の爪の隙間に雑菌が繁殖して起こるといいます。


ほかに爪が赤や黒、黄色のときは何らかの病気が隠れているかもしれません。変だなと思ったら不安を抱え込まずに受診しましょう。

また、白い点や線がたくさん見えるときは腎臓や肝臓の病気の可能性があるようです。
次いで爪の形。爪の真ん中がスプーンのように「さじ状」にへこんでいるときは、貧血で鉄分不足の状態だそうです。逆に爪が盛り上がり丸みを帯びたように見えるときは心臓や肝臓、肺の病気のおそれがあるといわれています。


他にも、爪の先端が割れやすくなるのは栄養不足や油分不足がいわれています。さらに爪の表面が先端で薄くはがれる「二枚爪(爪甲層状分裂症)」は冬にあらわれやすく、爪の水分不足や貧血、除光液による影響、水仕事が多いことなどが原因ともいわれます。

いずれにしても爪は、体の健康状態を映し出す鏡のようなもの。手といわず足といわず、体の末端にしがみつくように付着しているこの小さなかたい物体をじっくり愛情を持って観察してみてください。いとおしい気持ち、わいてきますよ(かな?)。

 

 

<参考資料>
成美堂出版『からだのしくみ事典』、万来舎『農家の健康便利帳』、日本実業出版社『全図解 からだのしくみ事典』
<参考URL>
*公益社団法人日本皮膚科学会『皮膚科Q&A 爪の病気』
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa38/q09.html

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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