月経前の不調がつらい、疲れやすくてうつっぽい……。その不調は、隠れ貧血が原因かも
寒い冬が終わって春が来ると心ウキウキしてきますね。それなのに、元気が出ない、疲れやすくて気分が上がらないということはありませんか。今回は、女子に多い「フェリチン不足」のお話です。
最近、こんな症状に悩んでいませんか?
突然ですが、下記の項目をチェックしてみてください。
□疲れやすい
□気分が落ち込む・うつっぽい
□からだがだるい
□根気が続かない
□肌荒れが気になる
□頭痛、肩こりがつらい
□生理前に心と体の不調が強くでる(月経前症候群)
チェックがついた項目はありますか? 原因不明のこんな不調は「潜在性鉄欠乏」による症状なのかもしれません。
女性の多くは深刻な鉄不足。体内の鉄はないのに出ていくばかりの状態
鉄欠乏性貧血は、知っているけれど「潜在性鉄欠乏」という言葉ははじめて聞いたという人も多いかもしれませんね。
そもそも鉄は、全身にくまなく酸素を届けてくれる血液中のヘモグロビンの原材料となるもの。鉄が不足するとヘモグロビンがつくれず、酸素が全身にいきわたらなくなってさまざまな不調が起こってきます。
鉄 はからだにとってとても大事な栄養素ですから、簡単にゼロになったりしないように、不測の事態に備える必要があります。体内の鉄の約70%はヘモグロビン の成分になり、残りの約25%は貯蔵されるといわれています。その働きを担っているのがフェリチンというタンパク質で、鉄分をおもに肝臓に貯蔵して、鉄分 が足りなくなったときにはすぐに利用できるように調節されています。
鉄をお金に例えれば、フェリチンは銀行預金。手元のお金(ヘモグロビン)がなくなると、フェリチンの貯蔵鉄で不足分を補っているのです。つまり、 フェリチンが体内に十分な量あって、鉄がストックされていれば、必要に応じて血液中に鉄を補給してヘモグロビンがつくれるというわけです。
通常は、鉄はごく微量にしか体外に排出されないものですが、女性は別。まず、初潮がはじまると、毎月の月経で血液が失われていきます。そのほか、野 菜中心の食事やダイエット、偏食や朝食抜きによる鉄摂取量の不足。また、妊娠中や授乳中は、鉄分がふだんよりたくさん必要になるという女性ならではの事情 があります。
つまり、女性は男性に比べてはるかに貯蔵鉄が底をつきやすいのです。そして、貯蔵鉄が不足している状態……それが「潜在性鉄欠乏」です。
フェリチン不足がPMS(月経前症候群)やパニック障害の原因に?
潜在性鉄欠乏は、貧血の一歩手前の状態。鉄が不足するとまずフェリチンが減少して、最終的にヘモグロビンが減少して貧血になります。
ですから、一般の健診で行う血液検査でヘモグロビン値は正常で「貧血」と診断されなくても、フェリチン不足の「隠れ貧血」であることが少なくないそうです。
鉄不足になると全身に酸素がいきわたらず、肩こりや倦怠感などさまざまな不調を引き起こしますが、それだけではありません。心の状態にも大きな影響を及ぼします。
と いうのも、鉄は幸せホルモンといわれるセロトニンや意欲を引き出すドーパミン、集中力を高めるノルアドレナリンなどの脳の神経伝達物質の合成を助けていま すから、鉄不足になると、これらの神経伝達物質も減って、やる気が出ない、気分が落ち込むといったうつ状態になりやすいといわれています。さらに、鉄不足 は月経前症候群やパニック障害の原因になると指摘する専門家もいます。心の不調は、実は、鉄不足が引き起こしていたのかもしれません。
女性の約半数は鉄不足といわれていますが、近年ますます女性の鉄不足が深刻になってきているといわれています。鉄不足を解消するにはどうしたらよいのでしょうか。次回に詳しくお話します。
<参考URL>
・グリコ『すぐわかる栄養成分ナビゲーター/栄養成分百科』
http://www.glico.co.jp/navi/dic/dic_10.html