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プラスコラム
PLUS COLUMN

女性のがん死亡率のトップ・大腸がんのお話し

かつては日本人には少なかった大腸がん。けれども食生活の変化などから、日本でも大腸がんが急増中です。女性のがんの死亡原因といえば、まず乳がんを思い浮かべる人が多いようですね。けれども女性のがんの死亡率の第1位は大腸がんです。今回は、40歳ごろから増えてくる大腸がんのお話です。

できやすいのは直腸とS状結腸

大腸の長さは1.5~1.7メートルもあり、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と直腸から成り立っています。大腸がんは、できる部位によって、大きく結腸がんと直腸がんの2つに分けられます。
癌の好発部位はS状結腸と直腸に多く見られます。大腸がんは、40歳ころから増えてきますが、30歳代や20歳代でかかるケースもたまにあります。

大腸がんはS状結腸と直腸にできやすい
 

 

こんな症状が見られたら受診して

大腸がんは、腫瘍のできる場所や大きさによっても症状が違ってきますが、血便が出る、便秘、便秘と下痢の繰り返しなどは大腸がんの代表的な症状です。

(1) 血便・おしりからの出血(下血)

便に血がついている、便と血液が混じっている、排便後肛門をふいた紙に血が付いているなど、血便と下血は大腸がんの初期症状としてみられます。「赤い血は痔、大腸がんは黒っぽい血が出る」と考える人も多いようですが、こうした思い込みは危険です。S状結腸がん、直腸がんなど肛門に近いがんほど赤い血のついた便が出ます。がんのサインを見落とさないようにしましょう。
なお、貧血から大腸がんがみつかるケースもあります。原因不明の貧血も要注意です。


さらに、とくに女性の場合は、便潜血検査(検便検査)で陽性になっても、痔のせい」とか「生理と重なっていたから」といいわけしがちです。けれども、この考えは大変に危険です。
また、仮に便潜血検査の再検査を行って、検査結果が陰性に出たとしても安心してはいけません。大腸の進行癌があっても、必ずしも便潜血検査で陽性になるとは限らないからです。
便潜血検査で1回でも陽性が出た場合は、必ず精密検査を受けることが必要です。

(2) 便通の変化(便秘になる/便秘と下痢を繰り返す)

急に便秘がひどくなった、便秘と下痢を不規則に繰り返すなど、それまでの排便習慣が変わったときも要注意です。がんが大きくなって腸管が狭くなると、腹部の張りや腹痛なども起こってきます。

(3) 便の変化(便の形が変わるなど)

そのほか、細い便が出るようになった、少量ずつ1日何回も便が出る、残便感などの症状も出てきます。

家族に大腸がんの人がいる場合は、とくに注意を

血便や便通・便の変化などの症状は、日常生活にさし障るほど大きな変化ではないので、見逃してしまう人も少なくありません。出血や便通異常が必ずしもがんとは限りませんが、大腸がんが急増している現在、決して他人ごとと油断はできません。必ず一度は消化器科や肛門科などを受診して、がんとの鑑別をつけておきましょう。とくに、家族に大腸がんや大腸ポリープになった人がいる場合は、大腸がん発生のリスク要因になるので、必ず大腸がんの検査を受けましょう。また生活習慣では、喫煙者や、野菜を食べずに肉食が多い人もリスクが高くなるので要注意です。

受診や検査時の痛みはほとんどありません。

おしりのトラブルは、場所が場所だけに、受診をちゅうちょする人も多いようですね。また診察するときは、「よつばいになるのかしら」と不安がる人もいます。けれども、内診は、診察台に右を下にした横向きに寝た姿勢で行います。おなかにはタオルをかけますし、下着は、おしりが見える程度におろせばOKです。


なお、血便や便の異常があるときは、大腸内視鏡検査(だいちょうないしきょうけんさ)など、大腸がんの精密検査を行います。内視鏡検査は、大腸全体を詳しく観察できて、ポリープが発見されればその場でポリープを切除することが可能なこともあります。
内視鏡検査は、「痛い」というイメージがあるようです。事前に便を完全に排出させるために下剤を2リットル近くのむのが大変ですが、検査自体はまず痛みはありません。
大腸がんは、進行が遅く早期に発見すれば、内視鏡的切除や手術などによってほぼ完治することが可能です。
おしりの調子が悪いときには、不安がらずに専門医のもとを受診しましょう。

プロフィール

野澤 真木子 先生
肛門科・胃腸科
野澤 真木子 先生

日本橋レディースクリニック院長・医学博士

杏林大学医学部卒業。
同大学病院第一外科入局。
山梨県立中央病院外科
聖ヨハネ会桜町病院外科
国際親善病院外科
杏林大学医学部付属病院第一外科
大腸肛門病センター松島病院
松島ランドマーククリニック院長を経て現職

医学博士
日本外科学会専門医
日本消化器外科認定医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
日本大腸肛門病学会専門医

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