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宴会の小ネタになる「お酒のウソ・ホント」

忘年会シーズン真っ盛りですね。今回は、お酒にまつわる「ウソ・ホント」を集めてみました。

 

ちゃんぽんは悪酔いする

×ウソ

日本酒とウイスキー、カクテルなど、お酒をちゃんぽんで飲んでいると、頭が痛くなったり、吐き気がして悪酔いをすることがありますね。
でも、悪酔いは違う種類のお酒を飲むことによって起こるのではありません。飲み口が違うお酒をいろいろ飲むうちに、つい飲みすぎてしまうのが原因なのだそうです。

ちゃんぽんすると酔いやすい理由は、あくまでもアルコール摂取量の問題だったのです。甘くて口当たりのよいお酒は、つい飲みすぎてしまうことが多い もの。また、二次会、三次会に行くとアルコールの量も増えます。悪酔いしないためにも、意識して飲むペースを抑えて、忘年会シーズンを乗り切りましょう。
 

肝臓が丈夫だからお酒に強い

×ウソ

お酒を飲むと、アルコールは肝臓で分解されてアセトアルデヒドという毒性の物質となり、さらに酵素(アセトアルデヒド脱水素酵素)により分解されて酢酸になり、最終的に無害な炭酸ガスと水に分解されて、体外へと排出されます。
 お酒に強いか弱いかは、このアセトアルデヒドを分解する酵素=アセトアルデヒド脱水素酵素が生まれつき多いか、少ないかによって決まります。つまり。遺伝・体質によるものです。飲みすぎれば、お酒の強い人も弱い人も肝臓にかかる負担は変わりません。
 

アルコールが弱い人もがんばって練習すれば強くなる

×ウソ

日本人の約4割は、生まれつきお酒に弱い体質、つまりアセトアルデヒドを分解する酵素(アセトアルデヒド脱水素酵素)が生まれつき少ないといわれています。ですから、練習したからといって、根本的にお酒に強くなれる可能性は低いようです。
お 酒に弱い人はアルコールを分解する能力が低いわけですから、無理して飲めば、急性アルコール中毒になる危険があります。また、アルコールの分解能力が低い ということは、それだけ毒性の強いアセトアルデヒドが長時間体内に留まることになります。WHOの報告によると、飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大 腸がん、女性の乳がんの原因となるとしています。無理してお酒を飲まないのが正解のようです。
 

タバコとお酒で、がんリスクが上がる

○ホント

喫煙者は、お酒の席ではついついタバコの本数が増えてしまいすね。でも、タバコ×お酒の組み合わせが、がんリスクをグンと上げてしまいます。厚生労 働省の研究によると、口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓がんなど、飲酒関連のがんでは、喫煙の有無にかかわらず多量飲酒は危険因子になるとしていますが、喫煙 者の場合はさらに飲酒関連がん以外も、お酒を多量に飲むことで、がん死亡のリスクが高くなると報告しています。アルコールが、タバコ由来の発がん物質を活 性化するようです。喫煙者は、酒を飲むとタバコがおいしく感じるといいますが、実は最悪の組み合わせなのです。
 

二日酔いには迎え酒がいちばん

×ウソ

昔から、二日酔いには迎え酒がいいといわれてきました。迎え酒をすると中枢神経が再びマヒして、二日酔いの不快な気分がなくなるとうな気がするので す。しかし、これは一時的なもの。しばらくすると再び二日酔いの不快な症状があらわれてきます。さらに、迎え酒は疲れた肝臓に負担をかけ、アルコール依存 症の第1歩にもなりやすいので要注意。迎え酒はNGと心得ましょう。
 

アルコールを飲みすぎると薄毛になる

○ホント

適度なアルコールは、血流を改善し、ストレス発散にもなりますが、飲みすぎは以下の理由から薄毛の大敵となります。

  1. アルコールを分解する際に、育毛に必要なアミノ酸を消費するため、大量に飲めばそれだけ髪に行く栄養が減ってしまいます。
  2. お酒を大量に飲んでいると熟睡ができないために、髪の成長や補修に必要な成長ホルモンが十分に分泌されません。
     
  3. アルコールの摂取量が多いと、アルコールの分解が間に合わなくなる。その結果二日酔いや悪酔いの原因となるアセトアルデヒドが、血液を通じて体内を循環。このアセトアルデヒドが薄毛の原因と言われるヒドロテストステロン(DHT)を増加させる働きがあるといわれています。

いくら高い育毛剤を買ってつけても、飲みすぎていては根本的な薄毛対策になりません。アルコールはほどほどに。
 

生理前・生理中に飲むと酔いやすい

○ホント

実際、生理前・生理中に飲むと酔いやすいと感じている人も多いことでしょう。女性ホルモンのエストロゲンは、肝臓のアルコール代謝を遅くすることが わかっています。生理前はエストロゲンの分泌量が増えるため、アルコール代謝が遅くなってとくに酔いやすくなるのです。また、生理中は体力が落ちやすくア ルコールの分解能力が鈍ります。イライラしたり、落ちこんだりして飲みすぎて、翌朝後悔する人も少なくありません。
 

飲み会が生理前や生理中と重なっているときは、いつもより悪酔いしやすく二日酔いになりやすいこと念頭に置いて、ゆっくりマイペースで飲んで飲みに 注意しましょう。なお、女性は男性に比べてアルコール依存症になりやすく、お酒は乳がんリスクを高めるといわれています。お酒はほどほどにしておきましょ う。
 

 

<参考URL>

●厚生労働省 多目的コホート研究「喫煙状況別の日本人中年男性のがん死亡と飲酒の関 連(詳細版)」
http://epi.ncc.go.jp/files/01_jphc/outcome/jphc_outcome_d_004.pdf

●山口大学保健管理センター「肝臓のアルコール分解能力は??」
http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~hoken/03healthmente/osaketotabako/sake-2.html

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。