プラスコラム
PLUS COLUMN

ネイルのヒミツ

花吹雪で桜の見頃も幕を閉じ、一気に新緑が芽吹く季節となりましたね。街のあちらこちらでさまざまな花々が咲き乱れ、草木は青々とし、華やかで美しい自然のエネルギーを感じます。温かな日差しに体の緊張もゆるみ、なんだかワクワクしてきませんか?

 

さて、これまでは「顔」のキレイについて解説してきましたが、今回はネイルについてです。日本人のメイクでここ数年、華々しく急成長した御三家といえば、まつ毛、アイライン、そしてネイルでしょう。自分で塗るマニキュアはもちろん、サロンに通いアートネイルやジェルネイルを自由奔放に楽しむ女子が激増。みんな自分の爪先にほれぼれと見とれ、自分の女子度を上げています。

 

 

ところで、ネイルが他のメイクとは決定的に異なる点があります。それは自分の装いでありながら、常に視界に入ってくるということ。携帯やパソコンを使っていても、家事をしていても、何となく視界に入る。顔のメイクは鏡を見なければ認識できないし、すっぴんでいる時間も長いのに比べて、ネイルは朝起きたときから眠るまで認識しっぱなし。ジェルネイルやスカルプチャーならば、2、3週間はつけっぱなしなので、朝起きたときから寝るまで視界に入っているということになる。これってどういうことだか分かりますか?

ある研究によると、すっぴんの顔を鏡で見ると、自己と認識し脳は無防備にリラックスするそうですが、メイクをした自分の顔は脳は他人と認識し、シャキッとするそうです。


ネイルにも同じ作用があります。いや、もしかしたら顔のメイク以上かもしれません。
自己でありながら、常に視界に入るというのは、自分をとりまく環境の役目もしているのです。花が好きな人が部屋に花をたくさん飾るように、ネイルのオシャレは自分の精神に影響を与えます。エレガントなネイルをしていると、女優になった気分で手の動きやしぐさまで優雅になったりします。人間って単純なんです。

だから、自分の目指す女性のイメージのネイルをしていると、それに近づいたりもできるというわけです。つまり、マインドコントロールの一種ですね。


それだけに、ネイルは塗ればいいというのでなく、どんな女を演じたいかで色やデザインを決めることが大切です。
ただし、これほどメンタルに影響があるものですから、はげかけたネイルをしたままだと、「私はだらしがない女」、とインプットされ、オシャレなどどうでもよくなってくるので、ご注意ください。

さて、とはいえ、私は個人的に、マニキュアもなにもしていない、シワシワで頑強な手も美しいと思います。食べるために、人を育てるために、働き駆使されてきた手は美しい。その中に色々な歴史が感じられ、そういう手を見るとホッとします。
ネイルのオシャレは楽しく、女度を上げるためにも有効です。でも、たまにはきれいに落として、装う自分をちょっと休憩。素に戻る時間を作ってもいいかもしれませんね。

プロフィール

山崎多賀子
(やまざき たかこ)
山崎多賀子

1960年生まれ。
会社員、女性誌の編集者を経てフリーに。雑誌やwebなどで美容、健康記事や美容ルポルタージュ、エッセイなどを手がけ、各誌で活躍。2005年に乳がんが発覚、2006年から女性誌に闘病記を掲載し話題に。
また、美容ジャーナリストという職業と闘病経験を活かし、乳がん治療中もいきいきとキレイでいられるためのメイク法や検診の重要性などを各地で講演。
著書に『「キレイに治す乳がん」宣言!』(光文社)、『山崎多賀子の極楽ビューティ体験記』(扶桑社)がある。
NPO法人キャンサーリボン理事。NPO法人キャンサーネットジャパン認定乳がん体験者コーディネーター。