子どもなのに「ロコモ」って、どういうこと……?
「ロコモ」といえば高齢者だけの問題かと思っていたら、最近は子どもも例外ではなく、運動器の働きが低下して「子どもロコモ」になっているといいます。
子どもたちにいったい何が起きているのでしょうか?
「ロコモ」って年齢に関係ない?
一般には略称として広く「ロコモ」などといわれている「ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)」ですが、2007年に日本整形学会によって提唱された概念といいます。日本語では「運動器症候群」といわれているようです。
「骨や筋肉などの運動器の働きが衰えて、立ったり歩いたり、作業したりといった動きや、移動するために必要な体の機能が低下した状態」のことをあらわします。
「ロコモ」といえば、たいていの場合「高齢者」を連想しますが、「ロコモ」は、じつはどの年代でもあらわれるのだそうです。
とくに近年は、「子どものロコモが増えている」といった強い危機感が専門家の間で語られているようです。
「しゃがめない」「転びやすい」のが特徴
子どもの「ロコモ」は、加齢による「ロコモ」とは違い、日ごろの運動不足や食生活の乱れによる肥満、運動能力や運動器の働きの低下などが主な原因と考えられています。
体のバランスがとれなかったり、反射神経が低下したりといったことによって、高齢者の「ロコモ」と似たような運動器の障害がみられるともいわれます。
たとえば「片脚立ちをしたときにふらつく」「朝礼で立っていられない」「転んだときに手がつけず、床や地面に顔面を打ってしまう」「しゃがむのが苦手で和式トイレが使えない」「ぞうきんがけで体を支えきれず転んでしまう」「キャッチボールがうまくできず、ボールを顔に当ててしまう」といったことが「子どもロコモ」の例として指摘されています。
なかには「姿勢が悪く、疲れやすい」「肩こりや腰痛がある」「頸部の痛み」など、高齢者のような症状を訴えることもあるそうです。
また「骨折する」子どもの比率も増えているようで、学校での骨折がこの40年の間に2倍以上に増加しているというデータもあるようです。
運動嫌いの子どもが増えている?
運動不足は子どもに限ったことではありませんが、とくに近年はスマートフォンやゲームの普及によって、体を動かす機会が減り、運動不足はもちろん、姿勢の悪い子どもが増えているといわれます。
不活発な生活習慣が「子どもロコモ」を招き寄せているともいえます。
スポーツ庁の調査によると、小学5年生と中学2年生の1週間の総運動時間(体育の授業を除く)が60分(1日にわずか10分弱!)に満たないものは、小5男子が9.8%、小5女子は17.3%、中2男子が9.9%、中2女子は21.7%でした。
また「運動やスポーツをすることが嫌い・やや嫌い」と回答した小5男子は6.5%、小5女子は14.2%。同じく「嫌い・やや嫌い」と答えた中2男子は9.0%、中2女子は22.8%でした。
男子に比べて女子には運動に「否定的」な傾向があるようです。
子どものときの運動習慣は将来に影響!
一方、東京都の調査(令和7年)によると「運動やスポーツは大切」と回答した児童や生徒の割合は、トップは小学5年男子で80.0%、2番目は中学2年男子の79.9%、3番目は高校2年男子73.2%でした。以下、小5年女子71.0%、中2女子65.8%、高2女子58.6%でした。
令和4年の調査開始のときと比べて小・中・高とも「大切」の割合が増えていました。
WHO(世界保健機関)や多くの国は日本も含めて、毎日の運動時間は60分以上、週に420分を目安にしています。
ただ多くの人は大人になるに連れて運動時間は減少。私たちは運動不足が日常になっているといわれます。
大人の運動習慣は子ども時代の運動経験の影響を受けて形成されていくと考えられています。
スポーツ庁の調査によると、小・中学生の男女の約8割が「卒業しても運動する時間を持ちたいと思う・やや思う」と回答しています。運動に対するその気持ちをずっと持ち続けてほしいですね。
<参考>
*「発育・加齢と身体活動量」(生活習慣病などの情報・e-ヘルスネット/厚生労働省)
*「ロコモティブシンドロームとは」(公益財団法人長寿科学振興財団)
*「ロコモパンフレット2025年度版 ロコモ」(公益財団法人 日本整形外科学会)
*「子どもロコモ読本」(認定NPO法人 全国ストップ・ザ・ロコモ協議会/作成:久光製薬株式会社)
*「スマホ社会と子どもの運動器障害」(小児保健研究/第80巻 第2号,2021)
*「令和7年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査報告書」(スポーツ庁)
*「令和7年度東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査結果について」(東京都教育委員会)


