「金縛り」に「歯ぎしり」…の、なぜ? どうする?
金縛りに歯ぎしり……そんな睡眠中の「困った!」に悩んでいる人も多いのでは? 自分ではコントロールできないだけに、「なぜ?」「どうすれば?」との悩みも尽きません。
対応する術はあるのでしょうか?
「金縛り」は心霊現象ではなく睡眠障害?
睡眠中のトラブルでダントツ恐ろしいのは「金縛り」ではないでしょうか。金縛り……なんとも不気味で禍々(まがまが)しさを放っている言葉ですが、辞書によれば、まさに「金鎖で縛ったように、きつくしっかりと縛りあげること」といった意味だといいます。
その言葉通り、金縛りにあうと体の自由は奪われ、助けを求める声もかき消され、寝ているはずなのに意識はあるような、ないような……なんとも表現しがたい恐怖と不安にかられます。
金縛りになるのではと思うと、寝るのが怖いと感じる人もいるでしょう。「心霊現象?」と思う人がいるかもしれませんが、そうではありません。
金縛りは医学的には「睡眠マヒ」という睡眠障害の1つだそうです。金縛りは性別に関係なく4割ほどの人が1度は経験するといわれます。
10~20代の頃にはじめて金縛りにおそわれる人が多いそうです。
なぜ、金縛りが起こるのでしょう?
金縛りは「あわてず」「すぐ終わる」でやり過ごす?
私たちの睡眠は、体も脳も休んでいるノンレム睡眠から始まり、体は休んでいるけれど脳は動いているレム睡眠に移行し、これを交互に繰り返しているといわれます。
レム睡眠中はよく夢を見たり、体の休息によって筋肉が弛緩し、眼球が急速に動きます。まぶたがピクピク動いているように見えるこの「急速眼球運動(Rapid Eye Movement)」があることからREM睡眠と呼ばれ、反対にノンレム睡眠はREMのない(non-REM)睡眠というわけです。
金縛りは寝入りばなによく起こるといわれます。
入眠後にはノンレム睡眠になるのが通常なのですが、なんらかの理由でレム睡眠が発生。筋肉が弛緩して体に力が入らない状態の中、脳は目覚めて半ば覚醒状態になるので、例えば胸に何かが乗っているような息苦しさや人の気配がしたり、声を出したいのに出せない、恐怖や不安感など金縛り状態におちいります。
もし金縛りになっても、通常、数秒から数分以内でおさまるといいます。あせらずに「これは金縛り」「すぐ終わる」と言い聞かせて、やり過ごすのがいいそうです。そのうち完全に目覚めるか、再び眠ってしまうようです。
金縛りの原因は、生活習慣の乱れ、睡眠不足と細切れの睡眠、精神的なストレス、寝る前の飲酒、さらには仰向けでの睡眠などがいわれています。
金縛りが頻回だったり、心配なときは、専門医に相談してみましょう。
「歯ぎしり」は健康にも悪影響?
「歯ぎしり」も睡眠中のトラブルとしてよく知られています。健康な人でも疲れているときなどに歯ぎしりをすることがあるといいます。
ただ毎晩のように数10分以上も歯ぎしりをしていると、歯がすり減ったり、欠けたり割れたり、知覚過敏の症状が出やすくなることがあるようです。
また歯茎に強い力が加わり歯周病の悪化や、あごの痛みや疲労感、頭痛、顎関節症を起こすリスクもあるようです。
さらに睡眠時無呼吸症候群との関連や高血圧のリスク要因といった報告もあるようです。「たかが……」と軽視しないことが大切です。
「歯ぎしり」がなぜ起こるかは、まだよくわかっていないようです。ただ、睡眠中の歯ぎしりの多くが、「深い眠りから浅い眠りに移行する途中に起こる」といった研究もあります。
「歯ぎしり」の原因は睡眠環境と生活習慣?
つまり歯ぎしりは、眠りが浅いときに多く発生するということのようです。
浅い眠りとは、例えば夜中に何度も目がさめる、熟睡感が得られない、朝起きても疲れが取れないなどが特徴といわれます。
良質な睡眠が取れれば歯ぎしりの改善につながる可能性もありそうです。
睡眠に影響を及ぼすものには、カフェインやアルコール、ニコチンなどの嗜好品の摂取のほか、照明や音、室温などの寝室環境を整えることや適度な運動がいわれます。ストレスや不安も睡眠によくありません。
結局、毎日の生活習慣が睡眠の質の向上、ひいては歯ぎしり予防のカギに……ということになりそうです。
ちなみに「食いしばり」は目覚めているとき(覚醒時)に起こるもので、「歯ぎしり」のようなギシギシ音はしないけれど、歯やあごに強い力が加わることでは「歯ぎしり」と同じといえそうです。
顎関節症やあごの痛み、頭痛など、「歯ぎしり」と同様の健康リスクが指摘されています。
心配なときは歯科か口腔外科を受診するのがいいかもしれません。
<参考>
*「『歯ぎしり・食いしばり』から考える全身の健康」(Mouth & Body Topics・VOL.6/サンスター株式会社)
*「『歯ぎしり』の影響と対策」(オムロン ヘルスケア株式会社)
*「健康づくりのための睡眠ガイド2023」「快眠と生活習慣/健康日本21アクション支援システム」(厚生労働省)



