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PLUS COLUMN

人はなぜ飽きるのか?

「日記を書く!」「朝活がんばるぞ」……「今年こそは」と立てた新年の目標。あなたは続いていますか。

挫折してしまった人も多いのではないでしょうか。

継続できないのは、意志が弱いからなのでしょうか。

 

ほとんどの人が挫折を経験

勢い込んで立てた新年の目標が早々に挫折してしまうと、「またダメだったのか」と落ち込んでしまいますよね。

けれども、自分を責めないでください。

実は、新年に立てた目標は多くの人が途中で挫折してしまうことが、国内外の調査で繰り返し示されています。

達成できる人はむしろ少数派なのです。

そう考えると、「自分だけじゃないんだ」と少し肩の力が抜ける気がしませんか。

 

脳にとっては「あたりまえ」のこと

一般に「飽きっぽい=意志が弱い」というイメージがありますが、実はそうではありません。

脳科学や心理学の研究では、飽きるのは脳の仕組みによる自然な反応だと説明されています。

脳には「変化を嫌う」という性質があるそうです。

やり慣れたことを続けていると、脳は「安全」「問題なし」と判断し、意識的な思考をほとんど必要としません。

これが「習慣」として定着する状態だといいます。

一方で、人の脳は新しいことを始めるのが苦手です。

「いつもと違うこと」を始めると、脳はエネルギーを使うためストレスを感じるそうです。

人がやり慣れたルーティンに流れやすいのは、脳科学的にみると極めて自然なことのようです。

 

脳の「報酬系」と「飽き」

人が「やる気を出す」源となるのが、脳の報酬系です。新しい刺激があると報酬系が活性化し、ドーパミンという神経伝達物質が大量に分泌されるといいます。

すると「もっとやりたい」という意欲が生まれます。

しかし、数日たつと脳はその刺激に慣れてしまうそうです。

そうなるとドーパミンの分泌量が減り、モチベーションが低下。最初は楽しかったのに飽きてしまい、続かなくなるのです。

さらに現代社会では、SNSやショート動画など、画面が次々と切り替わり予測できない刺激が絶えず流れています。

これらは脳の報酬系に強い刺激を与えるため、日常の刺激が相対的に“弱く”感じられ、飽きやすくなるという指摘もあります。

 

継続のカギは「小さな変化」

では、どうすれば「三日坊主」を克服できるのでしょうか。

そのカギは、脳の仕組みを理解し、意識的に小さな変化を入れ続けることだといわれています。

たとえば、

・ときどき環境を変える

・作業の手順を少し変えてみる

・ほんの少し難しいレベルに挑戦する

・ペンやノートなどの道具を変える

・運動なら、新しいウエアや靴を買う

といった「小さな刺激」が効果的だそうです。

また、行動を習慣化するには、日常の動作に紐づける方法も有効といいます。

・歯磨きしながらつま先立ちをする

・コーヒーを飲んだら作業を始める

・パソコンを起動したら今日のタスクを付箋に書く

など“トリガー(引き金)”をつくることで、行動が自動化されやすくなるそうです。

「これが終わったらハイカカオチョコレートを1かけ食べる」など、小さなご褒美を設定するのも効果的だといわれています。

挫折しやすい人は、往々にして「ゼロか百か思考(全か無か思考)」に陥りがちです。

やれない日があっても「こんな日もあるさ」と受け流し、また小さな一歩から再開することが大切なのかもしれません。

 

<参考>

※「知ってなるほど! 脳科学豆知識」(日本脳科学関連学会連合)

※「運動が三日坊主で終わるのは、脳のメカニズムのせい。習慣化のコツは『日常動作』に」

(ニューズウィーク日本版ウェブ編集部/株式会社CEメディアハウス)

※「脳医学者が解説/脳とからだのための3日坊主克服法」(OTONA BODY BOOK/株式会社ワコール)

※「筋金入りの『三日坊主』にこそ読んでほしい! 継続のための4つのポイント」

(働く人の心ラボ/一般社団法人 日本産業カウンセラー協会)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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