プラスコラム
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爪の縦すじは、なぜできる?

名刺の交換をするとき、コーヒーカップを持つとき、食事をするとき……手元は意外と人に見られています。

年齢とともに肌に変化を感じるように、爪にも変化を感じることはありませんか?

 

いちばんの原因は「加齢」

 爪の悩みで多いのが、爪の表面に縦すじがみられるというもの。

爪に縦の線が入る状態を爪甲縦条(そうこうじゅうじょう)というそうです。爪の表面が凸凹することもあって、見た目が気になりますね。

爪の縦すじの主な原因は、加齢だといわれています。

20代ではほとんど目立たないようですが、30~40歳ころから縦すじが入りはじめ、更年期を過ぎるころから目立ってくる人が増えてきます。

縦すじはとくに親指や人差し指の爪に出やすく、爪の表面がかなり凸凹する人もいるようです。

 

爪の潤い不足も原因に

ところで、みなさんは爪が皮膚の一部であることをご存知でしょうか? 

爪は皮膚の角質が変化して硬くなったものだといいます。

爪には皮膚と同じく水分が含まれていて、爪の水分量を保っているのも「セラミド」だそうです。

保湿成分のセラミドは、加齢とともに減少していきます。50代では20代の約半分くらいまで減少するという報告もあります。

そのセラミドが不足すると、皮膚が乾燥したりシワができるなど肌トラブルが起こってきますが、爪も皮膚と同様に潤い不足から縦すじが現われるようになるといわれています。

 

爪に十分な保湿ケアを

 温度も湿度も下がる冬は、お肌だけでなく爪からも潤いを奪っていきます。

手洗いや水仕事、入浴、アルコール消毒などは、爪の縦すじだけでなく、手や指先、爪の乾燥に直結するので、気をつけて。

 そのままにしていると、爪割れやささくれを引き起こす原因にもなります。

 乾燥が気になるこれからの季節は、ハンドクリームで手や指先、爪まわりをしっかりとケアしましょう。

またネイルオイルを塗るのもひとつの方法です。ネイルオイルを塗ったあとにハンドクリームを塗って、潤いを閉じ込めるとより効果的なようです。

いろいろな爪の保湿ケアが市販されていますから、クリームやジェルタイプなど好みのアイテムを選んで、爪に潤いを与えましょう。

 

栄養不足に要注意

 爪の不調は亜鉛不足が原因であることも少なくないようです。

亜鉛は、爪の主成分であるタンパク質「ケラチン」の生成に不可欠な栄養素だといわれています。

その亜鉛が不足すると爪に縦線が入ったり爪が欠けやすくなったりするそうです。

ダイエットや偏食で栄養バランスに偏りがあったり、ハムやソーセージやカップ麺などの加工食品やスナック菓子、菓子パンなどをよく食べる人は、亜鉛不足になりやすいといわれているのでご用心。

亜鉛はカキ、レバー、海苔、高野豆腐、赤身肉、アーモンドなどに多く含まれています。亜鉛は肌や髪の健康にも関係している栄養素ですから、積極的にとりたいものですね。

ほかにも爪の健康には、爪の成長をサポートする鉄分、爪の健康に大切なビタミン類(ビタミンA,ビタミンBなど)、丈夫な爪を育むタンパク質なども必要な栄養素。これらの栄養素が不足しないように、栄養のバランスがとれた食事を心がけましょう。

 

生活習慣も見直しを

食事以外では、生活習慣の見直しも大切なポイント。

ストレスや睡眠不足、過労などがあると、体の血流が悪くなって、体のすみずみまで栄養や酸素を行き渡らせることができなくなってしまいます。

その結果、爪の成長が遅れたり、爪がもろくなる、爪に縦線が入るなど、さまざまな爪の不調につながっていきます。

爪は体の状態を表す鏡といわれています。気になる爪の変化は、食事や生活が乱れているという体からのサインかもしれません。

「爪の縦線は加齢のせい」とあきらめずに、十分な保湿ケアを心がけたり、食事や生活を見直して改善していきましょう。

 

<参考>

※「爪の病気」(公益社団法人 日本皮膚科学会)

※「爪に起こりやすい症状」(ロート製薬株式会社)

※「もしかして加齢のサイン? 40~50代の爪事情編」(ディープセラム/興和株式会社)

※「ウィメンズ・メディカ」(小学館)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。