
【5/8更新】その疲れやすさは「貧血」が原因かも
すがすがしい新緑の季節なのに「疲労や倦怠感が抜けなくて、休日は1日じゅう家でゴロゴロしている」という人はいませんか?
今回は貧血のお話です。
疲労・倦怠感も貧血症状の1つ
疲労・倦怠感の原因はさまざまですが、貧血が原因で疲労や倦怠感が起こることがあるのをご存知でしょうか?
貧血とは血液中で酸素を運ぶ赤血球のヘモグロビン濃度が減ったために、全身が酸素不足になってしまう状態。
貧血というと、めまいやたちくらみなどを思い浮かべる人が多いようですが、倦怠感や疲れやすい・疲れがとれにくいなども症状の1つだといいます。
働き盛りの女性に多い?
貧血の中でももっとも多い「鉄欠乏性貧血」は、女性の働き盛りの世代に多いといわれています。
厚生労働省によると「日本女性の40%、とくに月経のある20代~40代の女性の約65%が『貧血(鉄欠乏性)』もしくは『かくれ貧血』です」としています。
ちなみに「かくれ貧血」とは血液検査では貧血の診断はでないものの、体内の鉄分が不足している状態)」を指すそうです。
貧血とは、血液中で酸素を運ぶ大切な役割をしているヘモグロビンの量が減って体に必要な酸素が減少した状態をいいます。
そのため貧血になると体の隅々まで酸素がいきわたらなくなるので、先にあげた疲労・倦怠感のほかにも、めまいやたちくらみ、顔が青白くなる、動悸、息切れ、頭重感など、さまざまな不調を起こすといわれています。
また貧血が続くと心臓に負担がかかり過ぎてしまい、心不全などのリスクも高まるそうです。
「たかが貧血」と思わないことです。
婦人科の病気や栄養不足にも注意
でもなぜ20代~40代の働き盛りの女性に貧血が多いのでしょうか。
1つに月経の影響があるといわれています。
女性は月経によって毎月血液が失われます。
過多月経といって経血量が多い月経であれば、なおさら毎月の血液が失われる量が多くなります。
過多月経の場合は、子宮筋腫や子宮内膜症が原因であることも多いので、経血量が多いときには婦人科の受診をおすすめします。
また摂取する鉄分の量よりも消費される量が多くなると、鉄欠乏性貧血が起こりやすくなるといわれています。
つまり偏食やダイエットで食事から十分な鉄がとれていない人は、とくに鉄分不足に陥りがちなので気をつけて。
他にも妊娠・授乳中の人は鉄の需要が増加するために、貧血になりやすいことが知られています。
男性や閉経後の女性は病気が隠れていることも
ときに、月経とは関係ないところで、慢性的な出血が続いていると貧血が起こるといいます。
男性や閉経した女性では、痔など肛門からの出血や、胃や腸など消化器の潰瘍やがんによる消化管の出血が慢性的に続くと鉄欠乏性貧血を招くといわれています。
とくに、胃がんや大腸がんなどの場合、初期のうちはこれといった症状がなく、進行して貧血の症状が現れることがあるそうなので、ご用心。
胃腸の不調があったり、黒い色の便が出る、便に血が付着している(血便)などの消化器の症状があるときは、すぐに内科を受診して原因を調べてもらいましょう。
暑い夏は貧血に注意を
性別や年代に関係なく、疲労・倦怠感が続くときには、内科を受診して病気が隠れていないか調べてもらうことが大切です。
また健康診断で鉄欠乏性貧血と診断され場合も、放っておかずに受診しましょう。
鉄欠乏性貧血の予防には、食事が重要なポイントになります。
主食、主菜、副菜がそろった栄養のバランスのとれた食事を毎日3食きちんと食べましょう。
それとともに鉄分の多い食品(レバー、赤身の肉類、赤身の魚、あさり、大豆製品、緑黄色野菜、海藻など)も意識的に食卓にのぼらせましょう。
夏は汗をかいて鉄分が失われたり、食欲がなくなって食事からの鉄分摂取が少なくなるために、貧血になりやすいといわれています。
今年の夏も暑くなりそうです。これからの季節にはとくに鉄分補給を心がけましょう。
<参考>
※「ウィメンズ・メディカ」(小学館)
※「貧血・かくれ貧血」(厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト)
※「体がだるい、疲れ・倦怠感【貧血】」(NHK きょうの健康)
※「鉄欠乏性貧血の予防と食事」(公益社団法人 千葉県栄養士会)