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【NEW:4/28更新】春の憂うつはなぜ起こる?

「心躍る春」という言葉があるように、春は人の気持ちを明るくする季節だといわれています。けれども反対に気持ちが沈んで憂うつになる人もいるようです。

 

意外と多い春に感じるこころの不調

「春なのに憂うつなのは自分だけ」と思っていませんか?

春はわくわくするようなことがたくさんありそうですが、実は春特有のストレスも多くかかる時期だそうです。

一般社団法人 徳志会が全国の社会人に行った「春がこころの健康に与える影響に関するアンケート」調査によると、「春にこころの不調を経験している」と回答している人はなんと約6割にものぼりました。不調の内容は「やる気の低下」「肩こり」「怠慢感」がトップ3でした。

また、春にこころの不調を経験した人の約半数以上が仕事のモチベーションも低下したと回答しています。

 

春特有のストレスとは

 でもなぜ、春はストレスがかかりやすいのでしょう。

 ひとつは、異動・転勤・新生活の始まりなど、春は生活環境が大きく変化することにあるようです。

 生活環境の変化は、新しい物事が始まる期待感もある一方で「果たしてうまくやっていけるか」「順応できるのか」など緊張や不安も抱えがちです。 

またストレスというと、仕事や人間関係がうまくいかない、といったことを思い描きがちですが、実は結婚や妊娠、昇進・昇格など人生においてポジティブなライフイベントもストレスになることが知られています。

 

自律神経も乱れがち

 また、春は気温の寒暖差が激しく、体にとってのストレスも大きいとき。

そのため、自律神経のバランスも乱れやすく、「だるい」「眠い」「頭痛・肩こり」「イライラ・気分の落ち込み」といったいわゆる「春バテ」の症状も出てきやすいといわれています。

つまり、春は自分でも気づかないうちに、少なからず心身に負担をかけていることが多い季節といえます。

 

もっと自分をいたわろう

「最近ちょっと疲れているな」「気分が沈みがちだな」と感じている人は、意識的に緊張をゆるめたり自分をいたわる時間をつくってみてはいかがでしょう。

 新しい環境に慣れるまでは、睡眠時間をしっかりとって、規則正しい生活を心がけることをお勧めします。

 それでも、眠れない日が続いたり、食欲がない、憂うつな気分や気分の落ち込みが2週間以上続き、何をしても心が晴れない、すぐに疲れてしまう、というときは一人でがんばらずに、「精神科」や「心療内科」、「メンタルクリニック」、「こころのクリニック」など、こころの専門家に相談することをおすすめします。

 

 

<参考>

※「春がこころの健康に与える影響に関するアンケート」調査(一般社団法人 徳志会)

※「4月から環境が変わった方へ ~ライフイベントのストレスについて~」(国立精神神経医療研究センターNCNP病院 2022年4月)

※「こころもメンテしよう」(厚生労働省)

※健康づくりかわら版「春は自律神経の乱れにご用心」(一般財団法人 日本予防医学協会)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。