
【4/10更新】日本人は世界一、「孤独」?
ふと、孤独感におそわれることありませんか?
「孤独」は心身のさまざまな不調と深い関連があるといわれます。
若い世代にも広がっているといわれる「孤独」の健康リスクとは?
現役世代の半数が「孤独を感じる」?
他人とのかかわりが希薄になっているといわれます。
そんな時代の中で孤独や孤立は、けっして他人事ではなく誰にでも起こるといいます。
内閣府の調査(令和5年「人々のつながりに関する基礎調査結果」)でも約40%が、孤独感を「常に」「ときどき」「たまに」あると回答しています。
これを年齢別、男女別に見ると、意外にも高齢者よりも現役世代で「孤独を感じる」割合が高いことが分かりました。
男女別ではどちらも全体の4割以下ですが、年齢別で見ると、男性の30代が46.6%で、次いで40代の45.4%、50代の44.3%と続きます。
女性では20代が47.5%でもっとも多く、30代が45.5%、50代が44.3%でした。
また孤独感が「しばしば・常に」ある人の61.7%は、孤独が「5年以上続く」と答えています。「10年以上続く」人が35%という調査もあります。
孤独は深刻な「現代の伝染病」?
孤独は健康を損ない、命に関わることもあるといわれます。
世界でも「孤独は現代のもっとも深刻な伝染病」と警告しているといいます。
例えば、孤独な人は「孤独を感じない人と比べて死亡リスクが50%上昇する」「孤独のリスクは1日にタバコを15本吸うことやアルコール依存症に匹敵する」「心疾患のリスクが29%上昇する」「孤独を感じない人に比べて認知機能が20%速いペースで衰える」などがいわれています(国土交通省『世界一孤独な日本人』より)。
また、千葉大学予防医学センターの研究でも社会的孤立者(家族やコミュニティとほとんど接触がない状態の人)は、「総死亡リスクが、そうでない人に比べて20%高い」「心疾患による死亡リスクが22%高い」「がん死亡リスクが14%高い」といった推計結果を公表しています。
さらには孤独と糖尿病などの生活習慣病のリスクや、「うつ」との関連を指摘する研究もあるようです。
世代を超えて広がる「孤独」「孤立」
「日本人は世界一、孤独」なのだそうです。
OECD(経済協力開発機構)の調査(2005年)では17%の日本人が、友人、同僚、その他の人との交流が「ほとんどない・まったくない」状態でした。
これは加盟国中ワースト1位。加盟国平均の倍以上の数値で、2018年に世界で初めて孤独担当大臣を置いたイギリスの約3倍もありました。
さらに厚生労働省の「国民健康・栄養調査(令和5年)」によると、職場や学校でだれかと一緒に食事をする頻度が「ほとんどない・月に1~2回」と答えた人が全体の69.2%。さらに友人・知人との食事の頻度も「ほとんどない・年に1回程度」が全体の43.1%でした。
また、内閣府が日本、韓国、アメリカ、ドイツなど7カ国の13~29歳を対象に行った調査によると、「悩みや心配事の相談相手」が「だれもいない」と答えた割合は、日本がダントツ1位で19.9%。最下位のスウェーデン(6.9%)の約3倍でした。
「人付き合い」の希薄さが際立って高い日本人像がうかがえます。
「孤独・孤立」は新たなサイレントキラー?
孤独や孤立が当たり前のようになってくると、さまざまな心理的な変化が現れるといわれます。
国土交通省の孤独に関する資料によると、例えば「自己中心的になってくる」「他人に否定的になる」「人嫌いになる」「被害者的感覚におちいる」「攻撃的になる」といった負のスパイラルから、孤独・孤立をさらに深めてしまうというのです(『世界一孤独な日本人』より)。
特に日本の男性は孤独・孤立におちいりやすいといわれています。
孤独や孤立を避けるには、多くの人と交流の機会をもつことだとよくいわれます。
仕事やスポーツ、ボランティアなどを通じて出会った人と一緒に時間を過ごしたり、没頭できる趣味を見つけるのもよい刺激になります。
「孤独は主観的な感情によるもの」といわれ、目にはソレとは見えませんが、新たなサイレントキラーとして、密かに心身の健康を蝕んでしまうことは確かなようです。
<参考>
*「人々のつながりに関する基礎調査(令和5年)」(内閣府)
*「世界一孤独な日本人」(国土交通省)
*「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成30年度)」(内閣府)
*「孤立・孤独」(一般社団法人日本生活習慣病協会)