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【3/24更新】顎関節症とストレスの関係

新年度を迎えて環境が変わったり新たな人間関係が始まったり……春はなにかと緊張したりストレスが増える時期。

そんなときに気をつけたいのが「顎関節症(がくかんせつしょう)」という顎のトラブル。

どんな関係があるのでしょうか?

 

顎を動かすと音がする、口が開きにくい……

最近口をあけ閉めするときや食べるときに、両方の耳の穴の少し前あたりにある顎の関節が痛んだり、音がしたり、口が開きにくいといった違和感はありませんか?

もしかしたらそれは「顎関節症」かもしれません。

 顎関節症とは、顎の関節や口を開け閉めしたりする際に働く咀嚼筋に不具合が起こるトラブル。

 ひどくなると痛みのために口が開かなくなって食事や会話に支障が出たり、ときには頭痛や肩こりなど全身に症状が出ることもあるそうです。

 

20~30歳代の女性に多い

「顎関節症という病名は初めて聞いた」という人もいるかもしれません。

けれども厚生労働省の歯科疾患実態調査(平成28年)によると、成人のおよそ7人に1人が「口を大きく開けたときに顎の音が鳴る」経験があることがわかっていますから、意外と多くの人が遭遇するトラブルのようです。

 顎関節症は女性に多く、とくに20~30歳代の女性に多いといわれています。

 十分に口を開けられなかったり、口を開けたり閉じたりするときに顎関節でカクカク、コキコキする音がすると気になっている人も多いのではないでしょうか。

 

原因は様々

 以前は顎関節症の原因は「噛み合わせの悪さ」とされていたようですが、現在は顎や顎の筋肉に負担をかかる様々な要因が複雑にからみ合って起こると考えられているようです。

 噛み合わせの悪さも1つのリスク要因ですが、その他にも歯ぎしりや歯の食いしばり、片側での噛み癖、硬いものを噛む、頬杖や猫背などの姿勢の悪さ、強い噛みしめが必要なスポーツ、楽器演奏など様々なリスク要因があるようです。

 さらに、ストレスや緊張で顎関節症を引き起こすことも少なくないようです

 

ストレス・緊張もリスク要因

 ストレスや緊張などは、顎関節症とは関係なさそうに思えるかもしれません。

 しかし、ストレスや緊張があると、人は知らず知らずのうちに歯を食いしばっているようなのです。

そのため緊張やストレスが続く状態では、顎関節に大きな負担がかかることになります。

 また、無意識のうちの食いしばりといえば、パソコン作業、精密作業をしているとき、スマホを使用しているときなども要注意。

本来、私たちは何もせずに口を閉じているときは、上下の歯が接することはないそうですが、パソコン作業やスマホに集中しているときなどは、うつむき加減で猫背になって、知らず知らずのうちに上下の歯を接触させる癖(TCH:Tooth Contacting Habit)がついていることがあるそうです。

TCHは歯ぎしりや噛みしめのように一時的に強い力はかからなくても、長時間歯を接触させるために、顎周辺の筋肉はずっと収縮した状態が続くために、結果的に顎や顎周辺の筋肉に大きな負担をかけてしまっているといいます。

 

上下の歯を合わせていないかチェックを

 最近、ストレスや緊張を感じる場面が多いと感じている人やスマホ、パソコンの使用時などには、無意識に上下の歯をくっつけていないか、こまめにチェックしてみるとよいかもしれません。

また1日に何度か、唇を閉じて、上下の歯を離し、意識的に顔の筋肉の力をゆるめるといいといいます。

その他、頬杖や猫背などの癖を正したり、硬い物やガムなど顎を酷使する食べ物は避ける、あくびなどで大口を開けない、ストレッチやリラックスタイムをつくってストレスや緊張の緩和を心がけることなどもポイントになるそうです。

それでも症状が改善しない、口が開きにくい、痛むなどの場合は歯科医院を受診することをおすすめします。

 

 

<参考>

※『ウィメンズ・メディカ』(小学館)

※「口腔外科相談室 顎関節症」(公益社団法人 日本口腔外科学会)

※「ストレスと口の健康」(こころの耳 厚生労働省)

※「顎関節症」(テーマパーク8020 日本医科医師会)

※「心と身体のリラックスを誘う口元習慣」(日本歯科医師会)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。