
【3/24更新】タンパク質の何が、そんなに重要なの?
「生命活動の主役」などといわれ、人間の体に不可欠な栄養素でもあるタンパク質。
近年、「脱ミート」の流れもあって植物性タンパク質が注目されているようです。そもそもタンパク質ってどんなものなのでしょう?
タンパク質は「生命の源」?
タンパク質というと炭水化物、脂質とともに3大栄養素の1つというイメージが強いかもしれませんが、もう1つ重要なのはタンパク質は「すべての動物や植物の細胞を構成する主要な成分」であるということです。
私たち人間の体を構成する成分で一番多いのは「水」で60~65%といわれています。次に多いのがタンパク質で約16%だそうです。その他に脂質、ミネラル、糖質などで構成されているといいます。
タンパク質は筋肉、心臓や脳などの臓器、皮膚や爪、毛髪などを構成する重要な成分であり、さらにはホルモンや酵素として代謝に関わったり、免疫機能を支える抗体などもタンパク質でできているなど、タンパク質は生命の維持に欠かすことができないことから「生命の源」「生命活動の主役」ともいわれています。
タンパク質が筋肉、毛髪になる?
タンパク質はアミノ酸が結合したもので、それぞれ固有の機能を持っているとされます。自然界には数多くのアミノ酸が存在しますが、人間の体のタンパク質は20種類のアミノ酸によって構成されています。
このうち9種類は食事からしか摂取することができない必須アミノ酸で、11種類は体内で作ることができる非必須アミノ酸と呼ばれるものです。
摂取されたタンパク質は体内でアミノ酸に分解され、吸収されたあと、およそ10万種類以上の役割の異なるタンパク質に再合成されて、筋肉や毛髪、皮膚、ホルモンや抗体など、それぞれに活用されるといいます。
このようにタンパク質は体内で分解と合成を繰り返しながら新旧の入れ替わり、ターンオーバー(代謝回転)を行っているといわれています。
人間の場合、成人で1日に200~300gのタンパク質が分解され、その約2~3割が尿や汗となって排泄されたり、毛髪や皮膚、爪などに活用されるといいます。
植物性と動物性タンパク質の違いは?
タンパク質を含む食べ物には様々ありますが、よく知られているものとして、豆類や穀類、ナッツなどに含まれる植物性タンパク質と、肉類や魚類、卵、乳製品などに含まれる動物性タンパク質があります。
どちらも同じタンパク質ですが、いくつかの違いがあるといいます。
1つはタンパク質の体内での消化吸収率。動物性タンパク質が約90%なのに対して、植物性タンパク質は80%前後といわれています。
また、多くの動物性タンパク質には9種類の必須アミノ酸が含まれているのに対して、植物性タンパク質には必須アミノ酸が不足しているものもあるといいます。
筋力アップには動物性脂肪の方がすぐれているといえそうですが、食べ過ぎると脂質の過剰摂取になりコレステロールが増えるおそれがあります。
植物性タンパク質は低エネルギーで低脂肪なうえ、食物繊維が豊富に含まれています。たっぷり食べられるので満足感も得られます。
タンパク質が不足すると……
偏食や欠食、行き過ぎたダイエットなどでタンパク質が不足するとどんな影響がでるのでしょうか? 例えば、筋肉量の減少、むくみ、肌や髪のハリとツヤの喪失、疲労感、思考力や集中力の低下……といった不調が起こりやすくなるといわれています。
タンパク質の食事からの摂取量について、厚生労働省は1日当たり成人の女性で50g、男性で60~65gを推奨しています。
タンパク質を上手に摂るには、毎日3食をきちんと食べることが基本。
さらに「良質なタンパク質」ということもよくいわれます。
これは必須アミノ酸がバランスよく含まれている食品のこと。動物性タンパク質は「良質」といえますが、脂質の取り過ぎが心配。
植物性タンパク質と組み合わせて食べることで必須アミノ酸のバランスが改善されるともいわれます。
動物性、植物性、どちらかに偏ることなくバランスよく組み合わせてタンパク質を摂取するのがよいとされます。
<参考>
*「たんぱく質」(e-ヘルスネット・厚生労働省)
*「ヒトはなぜタンパク質を食べるの?」(公益財団法人日本食肉消費総合センター)
*「タンパク質の真の姿を知れば社会に役立つ」(JAXA/宇宙航空開発機構)
*「低栄養が進むとどうなるの?」(キューピー株式会社)
*「タンパク質とは?特徴や種類、体を作る働きについて」(江崎グリコ株式会社)