
口臭と唾液の深~い関係
多くの人が気になる口臭。口臭を抑える方法はあるのでしょうか?
2つの原因
口臭は虫歯や歯周病など、お口のトラブルや全身疾患などの影響で起こる「病的口臭」と、病気やトラブルがなくても起こる「生理的口臭」があるといいます。
生理的な口臭は、多かれ少なかれ誰にでも起こりうるもので、1日の中でもにおったりにわなかったりといった日内変動があるそうです。
口臭は起床後が最強レベル
ではどんなときに臭いやすいのか? 気になりますよね。
生理的に口臭レベルが最も高くなるのは、起床直後だといわれています。
朝起きたときに口の中が粘つくことはありませんか。
眠っている間は唾液が減るために、口の中の細菌を洗い流す力が弱まり、細菌がどんどん繁殖するために、寝起きは口臭がきつくなることで知られています。
とくに口呼吸で眠っている人は口の中が乾燥して、細菌がより繁殖しやすくなっているといわれているので注意が必要です。
寝起きの口臭を抑えるためには、就寝前のお口ケアはブラッシングだけでなく歯間ブラシやデンタルフロスも使って念入りに行うこと。
起床後はすぐに歯磨きをする。
また舌苔(ぜったい=舌についた白いコケのようなもの)は口臭の原因になるので、専用ブラシで軽く舌磨きをすることも口臭対策に有効だといわれています。
空腹時も要注意
また、空腹時も唾液が減少するので生理的な口臭が強くなるそうです。
こんなときは、食事をしたり、積極的に水分を補給したり、またキシリトールを配合したシュガーレスガムを噛んだりして、唾液の量を増やせば口臭は弱まるといいます。
忙しくて食事抜きのまま仕事に突入などというときには、水分を意識的に補給したりガムを噛んだりして唾液を増やして口臭対策をとるとよいかもしれません。
各年代で起こりやすい口臭
そのほか、口臭は緊張して唾液の分泌量が減ったときなどにも起こるそうです。
年代的なことも関係していて、女性は生理中・妊娠時、更年期などホルモンバランスが変化するときは、唾液の分泌量が減って口臭が起こりやすくいわれています。
また、例えば思春期は成長ホルモンや性ホルモンの分泌が活発になるために、口臭や体臭が急にきつくなるようです。
高齢者は噛む力が衰えて唾液の分泌量が減ったり、歯磨きが十分にできていなかったり入れ歯の汚れなどが口臭の原因となってくるそうです。
唾液パワーで口臭予防
口臭の原因をみていくと、大きく関わっているのが「唾液」の存在です。
唾液には、細菌の繁殖を抑える抗菌作用や口の中の細菌や食べカスを洗い流す自浄作用があることが知られています。
唾液の量が少なくなれば、歯垢がたまりやすくなり、細菌が増えやすくなり、舌苔も増えるために口臭リスクが高まります。
唾液はよく噛むことで分泌が促されます。
ところが「噛まない食事」をしていると唾液も十分に出ず、口腔機能も低下していきます。
食事は根菜類を含めていろいろな食材を使って、ゆっくりよく噛んで食べることを心がけましょう。
前述したガムを噛むことや会話をすることも唾液分泌に有効だそうです。
唾液パワーを味方につけて口内環境を健やかに保ちたいですね。
<参考>
※「口臭の不思議」(『栄養と料理』2024年6月号 女子栄養大学出版部)
※『産後ママの体と心 トラブル解消BOOK』(NHK出版 監修/対馬ルリ子)
※「寝起きの口臭」(日本訪問歯科協会)
※「口腔外科相談室」(日本口腔外科学会)
※大手小町「おじさんよりくさい!若い女性の口臭、気になる原因と対策は?」(読売新聞オンライン)