
「静かなる殺し屋」、生活習慣病とは?
「だらしない生活をしている人がなる病気」といったイメージをもたれている生活習慣病。でもそれは誤解で、じつは誰がなってもおかしくない病気だともいうのですが……。
死因の5割を占める3つの生活習慣病?
生活習慣病とは文字通り、毎日の「食生活、運動習慣、休養(の取り方)、喫煙、飲酒などの生活習慣が、発症・進行に関与する疾患群」を指します(「生活習慣病とは?」厚生労働省-eヘルスネット)。
生活習慣に関連する病気には、高血圧症、心疾患(狭心症や心筋梗塞など)、脳血管疾患(脳梗塞、くも膜下出血など)、肥満症(メタボリックシンドローム)、2型糖尿病、脂質異常症、高尿酸結晶(痛風)、がん、歯周病、肺疾患、アルコール性肝障害ほか、多くの病気があります。
なかでも日本人の死因の約5割を占める、がん(24.6%)、心疾患(14.8%)、脳血管疾患(6.9%)は「三大疾病」「三大生活習慣病」 などといわれています(数値は厚生労働省「令和4年人口動態統計(確定数)の概況」より)。
さらに、この三大疾病に糖尿病、高血圧性疾患、肝硬変、慢性腎不全を加えて「七大生活習慣病」と呼ぶこともあるようです。
かつては「成人病」。今は「生活習慣病」
生活習慣病という呼称は1996年ごろから使われるようになったといいます。その前は「成人病」と呼ばれていました。
当時、がんや心疾患、脳血管疾患などの病気は、加齢にともなって発症すると考えられていたようです。
しかし、時を経てこれらの病気が喫煙や飲酒、運動不足など、不規則な生活習慣の積み重ねが原因となって、成人でなくても発症の可能性があることが分かってきたといわれています。
生活習慣病の発症には、ふだんの食生活や運動といった「生活習慣要因」の他に、細菌やウイルスなどの病原体、有害物質などの「外部環境要因」、そして体質など「遺伝的要因」の3つの要因が関与しているといいます。
そんなことから生活習慣病の原因を例えば「自己管理がおろそか」「不摂生」といった「個人の責任」として捉えるべきではないとされています。
自覚症状がなく、忍び寄る「殺し屋」?
生活習慣病の多くは、これといった自覚症状がないままに静かに進行し、症状があらわれる頃には手遅れの状態になることも多いといわれます。
「サイレントキラー」という言葉を耳にしたことがあると思います。別名「沈黙の殺人者」とか「静かなる殺し屋」などともいうようです。もともとは高血圧症のことを指すものとして使われていたようですが、最近では生活習慣病全般をそのように例えることもあるようです。
生活習慣病の発症はこれまでは50代、60代が多いといわれてきたようですが、最近は発症年齢が低下し、30〜40歳くらいから高血圧や糖尿病、脂質異常症などの指摘や疑いがある例が増えているといいます。
さらに生活習慣病は自覚症状がないことが多く、受診までの期間が長い傾向があり、健診などで指摘があって初めて受診する人が多いようです。
また「自分は大丈夫」という根拠のない過信から、気づいても治療せず放置するといったこともあるようです。
寿命は毎日の生活習慣で決まる?
『ブレスローの7つの健康習慣』というのがあります。アメリカ・カリフォルニア大学のブレスロー教授が提唱したものです。7つの健康習慣のうち、いくつ守ったかによって、45歳の人の平均余命に男女平均で約10年の差が出ることがあるそうです。
ただ、この研究は何十年も前のこと。以下に紹介する「7つ健康習慣」は今では多くの人が知っている内容ばかりかもしれません。ただ、健康を守るための基本的な生活習慣であることには今も昔も違いはなさそうです。
<ブレスローの7つの健康習慣>
(1)喫煙をしない (2)定期的に運動する (3)飲酒は適量を守るか、しない (4)1日7〜8時間の睡眠をとる (5)適性体重を維持する (6)朝食を食べる (7)間食をしない
いくつ該当しましたか? 自分の健康や寿命は、毎日の自分の生活習慣や行動に左右されることがよく分かりますね。
<参考>
*「生活習慣病を知ろう!〜スマート・ライフ・プロジェクト〜」(厚生労働省)
*「生活習慣病とその予防」(一般社団法人 日本生活習慣病予防協会)
*「健康な生活を送るために(高校生用)」(文部科学省)
*「三大疾病・七大疾病とは」(朝日生命保険相互会社)