
ストレスがあるときはなぜ甘い物が食べたくなるのか
ふだんは甘い物は抑え気味にしていても、生理前でイライラしていたり嫌なことがあったときなどに、つい甘い物に手を出して止まらなくなってしまうことはありませんか?
実はそれにはちゃんとして理由があるようです。
ストレスと甘い物
イライラしたり、不安や怒りを感じたりしたときに、なぜか無性に甘い物が食べたくなることは多くの人が経験することかもしれません。
そんなふうに、ストレスを感じたときに甘い物を食べたくなるのは、脳の欲求によるものだといわれています。
どんな仕組みがあるのでしょう。
ストレスホルモンによって食欲増進
私たちは強いストレスを感じると、副腎皮質から「コルチゾール」というホルモンが急激に分泌されます。
コルチゾールは、ストレスから体を守るために体内の緊張状態を保って戦闘態勢を整えるためのホルモンといわれています。
一方でコルチゾールには、体内のエネルギーを確保するために食欲を増進させる作用があるといいます。
なかでも糖質はもっとも素早くエネルギーに代わる栄養素。
強いストレスよりコルチゾールが増加しているときには、無性に高カロリーで甘い物が欲しくなってしまうのです。
甘い物は心を癒す作用も
一方でコルチゾールが増えると情緒を安定させる働きのある「セロトニン」と呼ばれる脳内神経伝達物質が減ってしまいます。
セロトニンは、食事から摂取されたトリプトファンというアミノ酸が脳内に取り込まれてつくられますが、そのときに必要になるのがブドウ糖です。
そこで甘い物を食べてブドウ糖が供給されると、トリプトファンは脳内に多く取り込まれてセロトニンの分泌が高まるそうです。
「無性に甘い物が食べたくなるの」は、つまりは脳の欲求によるもの。
糖質をとることで、不安や緊張を和らげるセロトニンが増加し、気持ちが落ちつくというわけです。
甘い物を食べると心が癒されるのは、こんな仕組みがあったのですね。
甘味のとり過ぎに注意を
疲れたとき、ストレスを感じたときには、甘い物を食べて自分をちょっぴり甘やかすことも大事かもしれません。けれども気を付けたいのは、甘い物のとり過ぎです。
甘い物を食べて急激に血糖値が上がって高血糖の状態になると、体はあわてて血糖値を下げようとして血糖値は急降下します。
すると、倦怠感や眠気、空腹、不安感など好ましくない症状を引き起こすといわれています。
また、血糖値の急激な上昇は血管の内側を傷つけるといわれているので注意が必要です。
甘い物を食べてリラックス効果を得られるのは、血糖値が急速に上がろうとするときだけで、ずっとリラックス効果が得られるわけではないようです。
また甘い物には依存性があるといいます。
糖質によって快感を覚えた脳は、「もっと」「もっと」と甘い物を欲するようになり、次第に「甘い物がないとイライラすると」いう状態に陥ってしまうことがあるそうです。
ストレス発散は上手に行って
日々ストレスと闘う中で、ときには「頑張っている自分にご褒美」も必要ですが、甘やかしすぎにご用心。
甘い物のドカ食いや暴飲暴食に走らないよう気をつけましょう。
高カロリーの物を食べ過ぎて体重を増やしたりすれば、別のストレスを増やしてしまうことにもなりかねません。
甘い物が無性に食べたくなったら、例えば温かい飲み物を飲んだり、ヨーグルトやゼリー、素焼きのナッツ類やチーズなどを食べておなかをなだめるとよいかもしれません。
また自分は「今はイライラしているから無性に食べたいだけ」と考えることも一種の抑止力になるそうです。
「食べてストレスを晴らす」思考から離れるためにも、例えば身の回りのものを片付けるなどして体を動かしたり、歯磨きをして食欲から気持ちをそらしたり、早めに寝てしまうのも一案です。
ネガティブな気分を発散させたり、睡眠リズムを整えるためには軽い運動が有効だといわれています。
好きな音楽を聴いたり、ゆったりお風呂に入ったり自分なりのストレスケアも心がけたいですね。
<参考>
※「ストレスと食生活」(e-ヘルスネット 厚生労働省)
※「リズミンの健康管理コラム」(日本成人病予防協会)
※「こころもメンテしよう」(厚生労働省)
※「甘い物が食べたいときは何が原因?」(ヘル酢タス タマノイ酢株式会社)