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ドクター相談室「慢性甲状腺炎の治療法について」

 

耳鼻科へ行った際に、甲状腺が腫れていると言われ、検査の結果、慢性甲状腺炎だろうと言われました。どのような治療法がありますか?教えてください。

 

 

『慢性甲状腺炎』とは、本来なら、外からの異物をやっつけようとするからだの免疫反応が、なぜかのどにある甲状腺に対して起き、つぎつぎに細胞を壊してしまう「自己免疫疾患」の病気です。

1912年に、橋本 策(かける)医師が論文を発表したことから『橋本病』とも呼ばれ、日本人女性の10人に1人はかかるとも言われています。

 

ただ、多くの患者さんは、甲状腺の機能は正常なので、自覚症状がなかったり、ご相談いただいたように甲状腺が腫れても、物が飲み込みにくくなったり、呼吸困難になることもないので、腫れが小さければ治療の必要はありません。

 

しかし、甲状腺の機能が低下している場合は、『甲状腺機能低下症』という病気のおそれがあります。

『慢性甲状腺炎』の患者さんのうち、20~30%は加齢とともに、この病気になっていきます。

からだの新陳代謝を促す「甲状腺ホルモン」が作られなくなり、便秘や記憶力・計算力の低下、眠気などが出始め、さらに進むと、顔がむくむようになります。

 

このときは、「甲状腺ホルモン」の薬を飲み、ホルモンの補充をおこないます。ほとんどの場合、薬を飲むことで、次第に「甲状腺ホルモン」の量も正常になり、普段と変わらない生活が送れるようになります。

 

まずは、お近くの内科か内分泌科のクリニックで、血液検査をして、甲状腺の機能が低下していないか調べてみることをおすすめします。

「甲状腺ホルモン」が不足していれば薬を飲む必要があり、正常値になれば薬を飲まなくてよくなるので、定期的に検査をして、薬を調整することが大切です。

 

歌手の絢香さんも甲状腺の病気でしたが、復活しましたよね。

あなたも、またあかるく元気な日々が過ごせるようになりますように。

 

プロフィール

安田 洋 先生
安田 洋 先生

目黒通りハートクリニック 院長

東京内科医会理事

医学博士

循環器専門医

 

目黒通り沿いに「目黒通りハートクリニック」を開院。

専門の循環器・呼吸器だけでなく、心療内科・ピル外来・AGA/ED外来などいろんな病気や悩みに対応できる診療を提供。

http://meguro-heartclinic.com/

http://pp.meguro-heartclinic.com/

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