命をおびやかす「死の四重奏」とは?
「メタボ」というと「太っている」とか、「おなかが出ている」だけと思い違いをしてしまいそうですが、別名「死の四重奏」とも呼ばれる4つの深刻なリスクをかかえているといわれています。
四重奏の中身とは……?
「太っている」からメタボではない?
太っている人やポッコリおなかの人を指して「メタボだね」などということがよくありますよね。
でも単におなかが出ていたり、太っているだけではメタボ(メタボリックシンドローム)には当てはまらないそうです。
別名「内臓脂肪症候群」とも呼ばれているメタボですが、厚生労働省によると「内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中になりやすい病態」をさすそうです。
メタボと生活習慣病は違うもの?
また、メタボとは別に「生活習慣病」と呼ばれている疾患もあります。
食事や運動、喫煙、飲酒など、日ごろの生活習慣と深い関わりがある病気のことで、高血圧や糖尿病をはじめ、脂質異常症、呼吸器の病気や肝機能障害、がん、肥満、歯周病などがあります。
生活習慣病は生活の質(QOL)を低下させる原因にもなりますが、本人が気づかないうちに進行して、ある日突然、致命的なダメージを与える病気を発症することから「サイレントキラー」などとも呼ばれているようです。
メタボと同じようにも見えますが別物と考えられていて、生活習慣病の多くはメタボを前段階として発症するといわれています。
メタボと生活習慣病で死因の5割
日本人の死因の上位3つといえば?
1位は、がん(悪性新生物)、2位は心疾患、3位は脳血管疾患だそうです(令和2年人口動態統計より)。ちなみに4位は肺炎、5位は老衰でした。
心疾患と脳血管疾患は、どちらも動脈硬化が原因といわれ、さらに動脈硬化の要因として高血圧、糖尿病、喫煙、肥満、脂質異常症などがあげられています。
また、がんは生活習慣病の1つといわれていますから、死因の1位から3位はメタボと生活習慣病に起因することになります。
さらに死亡原因の割合は、厚労省の統計によると、がんが27.3%、心疾患15.0%、脳血管疾患7.7%。この3つで死因全体の5割を占めています。
相互に関連して死を招く4つのもの?
「死の四重奏」という言葉を聞いたことがありませんか? 楽器による室内楽のことでは、もちろんありません。
「内臓脂肪型肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧が同時に発症している状態」のことをそう呼ぶのだそうです(厚労省「こころの耳」)。
この4つは、単独でも動脈硬化を進行させるリスクがあるとされますが、4つが重なると、たとえそれぞれの程度は低くても心疾患や脳血管疾患など、命に関わる病気を招くリスクが高まるといわれています。
メタボと生活習慣病こそ、「死の四重奏」の温床といえそうです。
健康にこそリスクマネジメントが必要
また、高血圧、脂質異常症、糖尿病の3つを発症している状態を「死の三重奏」とか「トリプルリスク」と呼ぶこともあるようです。
「四重奏」と同様に動脈硬化のリスクや心疾患、脳血管疾患の可能性が大きくなるといわれています。
さらに「死の五重奏」というものまであるそうです。
「四重奏」の4つのリスクに「喫煙」という要因が加わると、命に危険が及ぶ確率がさらに高まるのだそうです。
リスクマネジメントの重要性が様々な分野でいわれていますが、自身の健康へのリスクマネジメントこそ最重要かも……。
<参考>
*「メタボリックシンドローム(メタボ)とは?」「生活習慣病とは?」(厚生労働省・e-ヘルスネット)
*「こころの耳〜死の四重奏〜」(厚生労働省)
*「メタボってなに?」(国立国際医療研究センター糖尿病情報センター)