がまんした「オナラ」は、何処へ?
人前でそれをするのがはばかられるものはたくさんありますが、その1つが「オナラ」。がまんを強いられることもあるでしょう。
でもがまんしているうちに何処ともなく消えたオナラは、いったいどこへいったのでしょう?
「ところ嫌わず」で笑っていられない
昔から「出物腫れ物、ところ嫌わず」などという言葉があります。
出物とは大小の便や涙、鼻水などのことで、腫れ物というのはできもの、ニキビなどのこと。
これらが本人の意思にかかわりなく、また時や場所を選ばず勝手に出てしまうといったような意味です。「ところかまわず」といったりもするようですが、正確には「嫌わず」というようです。
オナラもその出物のうちの1つ。このはた迷惑なオナラ。
なぜこんなものが体の中でできてしまうのでしょうか?
オナラの正体は吸い込まれた空気
オナラのほとんどは、飲み食いしたり、タバコを吸ったときに胃に入り込んだ空気といわれます。
飲み込まれた空気の一部は「ゲップ」となって口から排出されますが、残りの空気は大腸に送られ、食べ物が分解されるときに発生するガスと混じってオナラになるというわけです。
日本人のオナラの生産量は、1日当たり平均0.5~1.5リットルほどだそうです。ただ、この量のオナラが全部、お尻から排出されるわけではなさそうです。
がまんしたオナラは何処へ?
腸内で生産されたオナラの大半は、腸の粘膜から血液に吸収され、尿に混じってオシッコとなり排出されるか、血管を通って肺に運ばれ、呼気となって外へ排出されるのだそうです。
残りがオナラとなって数回に分けてお尻から排出されるといいます。
ときには「ここでは、できない!」と、グッとがまんした経験は誰にでもあるかと思います。まれにがまんできずに……といったこともあったりもするでしょうけど。
でもなんとかがまんしているうちにその気配がなくなってしまうことも多いのですが、いったいこのオナラはどこへ消えたのでしょう?
出口を失ったオナラは血液中に吸収されて、肺から呼気となって排出されたり、ときには皮膚から体臭となって出るともいわれているようです。
オナラの大半は無臭のガス
オナラといえば「くさい」ですが、じつはオナラの99%はにおいのない窒素、酸素、水素、二酸化炭素などの無臭性のガスだそうです。
残り1%は、硫化水素、インドール、スカトール、アンモニアといった
成分で、これらがにおいのもとといわれます。
また、食べ物によってはニオイがきつくなるものもあるようです。例えば、
肉類や卵、ニンニク、ネギなどは強いにおいのもとになるそうですし、多量の飲酒もくさいオナラを放つ原因になるらしいです。サツマイモや豆はガスがたまりやすい反面、においはあまりきつくないそうです。
また、においの原因として腸内環境の乱れも指摘されています。
出るものに栓はできない
オナラを増やさないためには便通をよくすることはもちろん、空気を多く飲み込まないように、たとえば、よく噛まないで早食いしたり、飲料水のガブ飲み、食後のゲップをがまんするなどは避けたほうがよいそうです。
音が出たり出なかったり、ニオイがあったりなかったり、がまんできたりできなかったり、くしゃみしたり、しゃがんだときに思わず……そんな付き合い方がむずかしいオナラですが、出るものに栓はできません。
どんな人であれオナラと無縁でいることは不可能。場所をわきまえ、周囲に迷惑をかけないことを第一に、穏やかに付き合っていきましょう。
<参考>
*「我慢したおならはどこへ行く?」(日経Gooday)
*「オナラを我慢すると口から出てくる⁉︎ オナラが臭くなってしまう原因や溜めないようにする方法を徹底調査」(CBCテレビ)
*「知ってなっとく からだの疑問」(小学館)