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乳がんチェックに欠かせない自己検診のすすめ

ふだんから自分の乳房の状態を知ったおくことが大切

乳がん発見の決め手となるのが、医療機関で受ける定期的な乳がん検診と自己検診です。乳がん検診を受ければ、それで十分なのでは? と思う方も多いかもしれませんね。でも、人それぞれお肌の状態が違うように、乳腺の状態も人によって違います。初めてあなたの乳房を触診する医師よりも、「いつもの乳房の状態を知っている」あなたのほうが、乳房の異変をいち早く発見できることも多いのです。そのためにも、自己検診を行って、ふだんから自分の乳房の状態を知っておくことが必要なのです。
 

スキンケアと同じようにブレストケアも入浴時の日課に!

自己検診は、月に1回、定期的に乳房の様子を目で見て確認し、まんべんなく乳房を触ってチェックしていくのが基本です(下段「乳房の自己検診」参照)。

でも、めんどうくさがりやさんにとっては、わざわざ裸になって自己検診をしたり、毎月決めた日に行うのは、けっこう気が重いことかもしれませんね。
そこで、おすすめしたいのは、毎日のバスタイムを利用した、超簡単な自己チェック法です。

石鹸をつけて体を洗うとき、あるいはお風呂から出てボディーローションをつけるときに、4本の指の腹を使ってくるくると乳房全体とワキの下までをクリームをすり込むような感覚でまんべんなく触って、しこりや硬い部分がないかをチェックしてみましょう。
 

次に、鏡の前にたって乳房の様子もチェックしましょう。次の点がポイントです。

□左右の乳房の大きさに違いはないか。
□皮膚の色に変化がないか。
□赤く腫れていたり、皮膚が厚く毛穴が目立っているところはないか。
□皮膚のひきつれ、へこみはないか。
□乳輪もただれやかさぶた、湿疹はないか。
□乳首を軽くつまんでみて、分泌液は出ないか。

スキンケアと同じように、20歳を過ぎたらブレストケアも日課にして、毎日続けて行ってください。洗顔のときに手の感触でおでこにできたニキビをいち早く発見できるように、ブレストケアを続けていると、しこりや痛み、乳房の皮膚の異常など、乳房のちょっとした異変にもすぐに気づくことができます。「いつもと違う」乳房の状態に気づいたときは、あらためて下の基本の自己検診を行ってみましょう。
 

基本の自己検診の方法

 

あお向けに寝て、肩の下のタオルを敷きます。調べる方の腕を上げて、4本の指をそろえ、指の腹と肋骨で乳房をはさむようにして、10円玉大の「の」の字を描くようにして、指を動かしていきます。乳房全体を調べるときは、この「の」の字を繰り返していきます。ワキの下や鎖骨のあたりもチェックしていきましょう。
 

月に1回の自己検診を行うときには、月経がはじまって5~7日目に行うのがベストタイミング。この時期は乳房の痛みや張りがなくなって、異変を発見しやすい時期だからです。閉経後の人や、子宮や卵巣を切除した人は、毎月「1日の日に行う」など、日にちを決めて行うとよいでしょう。

異常を発見したら、迷わず受診を

もし、「いつもと違う異変や変化」に気づいたら、迷わず乳腺外科や乳腺外来など乳房の病気の専門科を受診してください。
乳房のしこり=乳がんではありませんし、反対に「これくらいのしこりなら大丈夫だろう」とか「単なる皮膚炎だろう」思っていたら、それが乳がんであるケースもあります。
気になる異変が良性のものなのか、悪性のものなのかは、自覚症状だけでは判断できません。ひとりでくよくよ悩んでいてもはじまりません。乳腺専門医のもとでマンモグラフィや超音波の画像検査を受けて、はっきりさせることが必要です。
 

プロフィール

島田 菜穂子 先生
乳腺科・放射線科
島田 菜穂子 先生

放射線科専門医、マンモグラフィ読影認定(A判定)、日本乳癌学会認定医、 日本医師会認定健康スポーツ医、日本医師会認定産業医、日本がん検診診断学会認定医 日本体育協会認定スポーツドクター、NPO法人乳房健康研究会副理事長

1988年筑波大学医学部卒。筑波大学付属病院、東京逓信病院、米国ワシントン大学ブレストヘルスセンター、イーク丸の内副院長、東京ミッドタウンクリニックシニアディレクターなどを経て、現在、 ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長。2000年NPO 乳房健康研究会を立ち上げピンクリボン運動など診療の傍ら乳がん啓発活動を推進。

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