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「ジェネリック医薬品」と「先発医薬品」の違いは?

いまではすっかり定着した「ジェネリック医薬品」ですが、名称は知っていても内容についてはあまり関心がない人も多いようです。

薬は自分の健康を守るかなめ。そんな「ジェネリック」について調べてみました。

 

ジェネリック医薬品のシェアは8割?

 いまでは多くの人が知っていて、広く使われているジェネリック医薬品ですが、世の中に登場したのは1960年代の頃だそうです。

ただ当時は国の承認制度も現在のように整っていなかったこともあったようで、品質に問題のあるものが多かったといわれています。

そんなジェネリック医薬品ですが、60年あまりの時を経て、承認方法の厳格化などによって、現在ではその数量シェアは厚労省の調べ(2022年9月薬価調査より)によると79.0%にまでなっているといいます。

欧米ではジェネリック医薬品はすでに広く普及していて、アメリカでは90%以上、ヨーロッパでも60~80%を占めているといわれます。

 

「先発医薬品」と同じ有効成分と効き目?

 ジェネリックとは英語の「jeneric(一般的な)」が由来だそうで、「ジェネリック医薬品」の名称は世界共通の呼び名になっているようです。

製薬会社が多額の研究費を費やして開発した「先発医薬品」に対して、ジェネリック医薬品は先発医薬品の特許期間(20~25年といわれています)が切れた後に、その他の製薬会社が製造、販売することから「後発医薬品」とも呼ばれます。

 先発医薬品の特許期間が終了すると、新しい薬に使われた有効成分や製法などは公開され、他の製薬会社が厚生労働大臣の承認を得られれば、後発医薬品、ジェネリック医薬品として製造、販売できるということです。

 

●安価なジェネリックで医療費の上昇を抑える?

ジェネリック医薬品には先発医薬品のような長い年月(約9~17年)や数百億円といわれる巨額の研究、開発の費用はかかりませんから薬が安価ですみ、結果として薬代の自己負担が減り、国の医療費の抑制にもつながるといわれています。

 薬の種類にもよるでしょうが、ジェネリックの薬の値段は莫大な投資費用がかからない分、先発医薬品に比べて5割からそれ以上、安く設定できるといわれています。

 ちなみに厚生労働省によれば、ジェネリック医薬品の場合、薬の開発期間は約3〜5年、費用は約1億円ということです(同省「ジェネリック医薬品への疑問に答えます」より)。

 

先発と同じ成分でも効果が得られないことも?

 薬の品質や効き目、安全性など、国のきびしい基準をクリアしたジェネリック医薬品ですが、まったく問題がないわけではないようです。

 先発医薬品とジェネリック医薬品は、同じでなくてはいけない部分と違ってもいい部分があるといいます。

有効成分、効能、効果、用法、用量は当然、同じでなくてはいけませんが、色や形、味、添加物などは違ってもいいとされているようです。

 そのために例えば先発医薬品と成分が同じでも、製造行程や添加物が異なるために思ったような効果が得られなかったり、まれにアレルギー反応などの副作用があらわれる可能性もあるといわれます。

 

ジェネリックならではの工夫された薬も

 反面、飲みやすくするために様々な工夫が施されたジェネリック医薬品ならではの薬もあるようです。

例えば、錠剤の大きさを小さくするとか、錠剤をコーティングして苦味を少なくする、錠剤が飲みにくい人のためにゼリー状や液体に形を変更する、飲み間違いをなくすように文字や色で工夫するといったことです。

また、医療関係者が調剤しやすいように工夫されたジェネリック医薬品もあるといいます。水がなくても服用できる錠剤の開発とか、薬効を包装シートに表示する、調剤する際の間違いを防ぐために薬シートに製品名を大きく表示する、薬の規格(含量など)を増やすといった工夫です。

飲み薬だけでなく湿布薬や塗り薬のジェネリック医薬品もあります。

 ジェネリックの有効性や安全性に不安や疑問を感じたら薬剤師やかかりつけの医師に相談してみてはいかがでしょう。

 

<参考>

*「安心してご利用ください ジェネリック医薬品」(政府広報オンライン)

*「後発医薬品(ジェネリック医薬品)に関する基本的なこと」「ジェネリック医薬品への疑問に答えます」(厚生労働省)

*「ジェネリック医薬品って何?」(奈良県HP)

*「かんちがいしていませんか?ジェネリック医薬品」(さいたま市HP)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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