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「救急車逼迫アラート」をご存じですか

東京消防庁では7月1日から「救急車逼迫アラート」の運用を開始しました。

いったいどんなものなのでしょうか?

 

救急車の逼迫度を示す仕組み

「救急車逼迫アラート」とは、救急車の出動が急増して非常用の隊が編成されると、ホームページやSNSなどにアラートが表示される仕組みで、救急車の出場体制の逼迫度合いがわかるそうです。

救急車の出場体制のひっ迫を度合いを伝えることで、利用者に救急車の適時・適切な利用を強く訴えかけることが狙いだといいます。

 

昨年の救急車出動は過去最多

 でも、アラートを出すほど救急車の出動が増えているのでしょうか? 

実は救急車出動の件数は年々増え続けており、消防庁によると、昨年の令和4年度の救急車による救急出動件数、搬送人員は前年に比べて大幅に増加。集計開始以来最多となったそうなのです。

 

緊急性のないケースも

 東京消防庁救急隊の出場件数も、令和4年度は前年から12万8,372人も増えて872万75件に。救急搬送された人のうち、軽症と判断された割合は53.4%と半数以上を占めていたそうです。

 また、東京消防庁が受け付けた119番通報も、昨年は統計上はじめて100万件を超えたそうです。

その中には「今診療中の病院を教えてほしい」など緊急性のない問合せや消防に関係のないものも約2割含まれていたといいます。気軽に119番に電話してしまうケースも少なからずあるようなのです。

 

これからの季節、救急搬送の増加も

 暑さが厳しくなるこれからの季節は熱中症による救急搬送が増えるとき。新型コロナウイルス感染の再拡大もあいまって、熱中症や新型コロナによる救急搬送の増加が懸念されています。

 救急隊が緊急性の高い人の元にいち早く駆けつけることができるように、安易な119番通報は控えたいものですね。

 

救急車を呼ぶべきか迷ったら……

 とはいえ、軽い症状に見えて実は緊急性が高いこともあり得ます。

とくに、高齢者や子どもは容体が急変することもあるので、油断はできません。

消防庁は「救急車を呼ぶかどうか迷った場合は、救急相談センター(#7119)を利用してほしい」と呼び掛けています。

「#7119」に電話すると医師や看護師らが電話口で状況を聞き取り、救急車を呼んだほうがいいか、急いで病院を受診したほうがよいかを判断し、緊急性が高くない場合は受診できる医療機関や受診のタイミングなどについてもアドバイスをしてくれるそうです(24時間年中無休)。

 また、東京消防庁のホームページでは、高齢者、おとな、子どもにわけて「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」として緊急度の高い症状を示したリーフレットを紹介しています(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/inf/tokumei/rea119/date/symptoms.pdf)。

 いざというときにあわててないよう「#7119」の番号を書いた紙や緊急度の高い症状を紹介しているリーフレットをプリントアウトして冷蔵庫など目につくところに貼っておくと安心です。

 

 

<参考>

※「救急車逼迫アラート」~救急出場件数が過去最多ペース」(東京消防庁アプリ)

※「その119番本当に必要ですか?」(東京消防庁ホームページ)

※「もしものときの救急車利用法 どんな場合にどう呼べばいいの?」(政府広報オンライン)

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。