プラスコラム
PLUS COLUMN

気になる多汗症

ムシムシ、ジトジト……これからの季節は汗をかく日が増えてきますね。

暑い日に汗をかくのは当たり前とはいえ、汗の量が多い人にとっては憂うつな季節がやってきます。

 

汗は体温調節に必要なしくみ

 そもそも汗は、体温調節に必要なもの。激しい運動をしたときや気温の高い日はより多くの汗をかきますが、汗が蒸発するときに体から熱を奪ってそれによって体温を下げてくれます。

 体温調節のために汗をかくのは当然のことなのですが、人より汗の量が多いことに悩む人も少なくないようです。

 

多汗の悩みは深刻

 汗の量が多いと、人の目が気になりますね。

汗をかくことの不快感だけでなく、自分の汗がにおっていないか、汗による衣服のシミなどが周囲の人にどのように思われているかなどが気になるもの。

脇の汗が気になって電車のつり革につかまれない、汗ジミが目立つから色のついた服を着られない、商談やプレゼンのときなどに汗が気になって集中できないなどといった声も聞きます。

 

皮膚科で相談を

「たかが汗っかき」と思う人もいるかもしれません。

けれども本人にとっては深刻な悩みなのです。

こんなふうに、汗の量が多いために日常生活に支障が出ていると感じている場合は、多汗症といって治療を受けられる可能性があるといいます。

 多汗症に悩む人は、7~10人に1人ともいわれていますから決してめずらしいものではありません。

多汗症に対しては、飲み薬や注射、塗薬などさまざまな治療法があるといいます。症状によって保険適用になるケースもあるそうですから、まずは皮膚科で気軽に相談をしてみてはいかがでしょうか。

 

更年期に起こる多汗の正体

 ところで、多汗症とは別に更年期に大量の汗をかくようになることがあります。

 ふだん汗っかきでもないのに、人と会ったときなど汗がとまらなくなる、夜中に急にたくさんの汗をかいて熟睡できなくなったりします。

 これは、代表的な更年期の症状のひとつ。

更年期になると、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急上昇したり急下降したり乱高下するといわれています。

 エストロゲンの急激な変動の影響を受けて自律神経が乱れるために、このような症状が出ると考えられています。

 更年期に起こる多汗やのぼせ、ほてりなどは、病気ではありませんがつらい症状であることに変わりありません。

ホルモン補充療法や漢方薬も有効だといわれていますから、がまんせずに婦人科や女性外来などで相談を。

 

 

<参考>

※「皮膚科Q&A」(日本皮膚科学会) 

※「脇汗スッキリproject」(マルホ株式会社)

※「ワキ汗治療ナビ」(科研製薬株式会社)

※『更年期障害 これで安心』(小学館 堀口雅子監修)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。