プラスコラム
PLUS COLUMN

更年期からは動脈硬化にご用心

女性ホルモンが低下する更年期からは、生活習慣病が増えてきます。

中でも気をつけたいのが動脈硬化。自覚症状がないまま進んで、放置していれば血管が詰まって重大な病気を引き起こします。あなたの血管は大丈夫?

 

心筋梗塞や脳梗塞のリスクになる

 血管が老化することによって動脈硬化は起こります。年齢を重ねるとお肌にしわやたるみができるように、血管の壁もしなやかさが失われて硬くなり、傷つきやすくなります。

その結果、血液中のコレステロールが血管壁にたまって血管の内腔にプラークがついたり血栓が生じたりして血管が詰まったり破れやすくなってしまうのです。

 このときもし心臓の血管を詰まらせれば心筋梗塞に、脳の血管を詰まらせれば脳梗塞を起こすなど命にもかかわる重大な病気につながります。

 

女性は閉経後に要注意

 動脈硬化は加齢とともにリスクが増えますが、動脈硬化の進行は、一般に女性は男性に比べて10年~20年遅く、更年期以降から進行するといわれています。

女性ホルモンのエストロゲンは、悪玉コレステロールを減らして動脈硬化を防ぐ働きがあるので、月経のある期間は男性より若い血管を保つことができました。

しかし、更年期以降、とくに閉経後からは男性と肩を並べて動脈硬化やさらに心筋梗塞などの危険性が増大することが知られています。

 

危険因子となるもの

動脈硬化は「高血圧」「高脂血症」「糖尿病」「喫煙」「肥満」が5大危険因子といわれています。

更年期以降は女性も内臓脂肪型の肥満が増えてきます。内臓脂肪が多い状態を放置していると、高血圧や高血糖を引き起こし、動脈梗塞が急速に進むといわれているので、お腹まわりが気になる人は気をつけたいですね。

一般健康診断でへそまわりの腹囲をはじめ脂質異常・高血圧・高血糖など複数の数値に異常が見られる場合は、動脈硬化の疑いありと指摘されます。

動脈硬化はかなり進行するまで自覚症状がないといわれています。健診の結果、動脈硬化のリスクが高い人は血管の状態を調べることをおすすめします。

 

動脈硬化の予防対策

 更年期に入ったら、動脈硬化のリスクが高い人もそうでない人も動脈硬化の予防対策をたてましょう。

 予防対策の第一歩は食事の見直しだといわれています。まずはコレステロールの多い食品や動物性脂肪は避けて、野菜や食物繊維を多く摂るのが基本となります。

日本動脈硬化学会では「The Japan Diet」を推奨しています。伝統的な日本食は、味付けが濃かったり塩分の多い食事が多いのですが、「The Japan Diet」では減塩した日本食材のパターンで主食・主菜・副菜をそろえることをすすめています。

「The Japan Diet」の冊子は、日本動脈硬化学会のホームページからPDFをダウンロードできますので、興味のある方はのぞいてみてください。参考になるレシピや嗜好品などとの付き合い方、動脈硬化の基礎知識なども掲載されているので、活用してみてはいかがでしょうか。

 

<参考>

※『きょうの健康』2021年10月号 NHK出版)

※『更年期障害 これで安心』(小学館 堀口雅子監修)

※日本動脈硬化学会ホームページ

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。