
気になる耳鳴り
多くの人が経験するといわれている耳鳴り。
ストレスからくる耳鳴りも意外と多く、若い世代にも起きることがあるようです。今回は耳鳴りのお話です。
耳鳴りが及ぼすさまざまな影響
周囲で音が鳴っているわけではないのに音が聞こえてくる現象が耳鳴りです。
ザー、ジーといった低い音やキーン、ピーといった金属音などが代表的だといわれています。
耳鳴りの経験がある人は、全人口の10~20%とも言われていますから、実に多くの人が耳鳴りに悩んでいるといえます。
耳鳴りがあると仕事に集中できないばかりでなく、耳鳴りが気になって何をしても楽しむことができません。
周囲の無理解や不眠に悩む人も
また、耳鳴りのつらさを周囲に訴えても「気のせい」などと片づけられてしまうことがあるために、ひとりで辛さを抱え込んでしまう例も少なくありません。
耳鳴りが原因で不眠になることもあり、耳鳴りがあると日常生活にさまざまな支障が起こってきます。
耳鳴りはなぜ起きる?
ちょっと難しい話になりますが、そもそも耳鳴りを感じるのは、耳ではなくて大脳だといいます。
音の情報は、電気信号となって脳に伝わることで「音」が認識されるのだそうです。
けれども私たちは、周囲の音のすべてを認識しているわけではありません。
たとえば街に出れば、ザワザワとした雑踏の音や車が走る音、店舗から聞こえてくるアナウンスやBGMなどなさまざまな音が聞こえてきます。
それらの音のひとつひとつを認識せずに街を歩いていますが、例えば自分の名前を呼ばれたときなどは、しっかりと認識して声の方向を振り向いたりします。
こんなふうに脳は、自分にとって必要な音や重要な音、また危険な音などを情報として選んで認識していると考えられています。
ところが何かしらの原因で音を聴く仕組みに異常が起きて、脳が音を認識しづらくなってしまうことがあります。すると、脳はそれを補うため過度に反応して、聞こえない音まで感知してしまうそうです。これが耳鳴りだといわれています。
病気が原因であることも
耳鳴りの原因はまだはっきりとわかっていない部分もあるといいます。
けれども耳鳴りの背景には、突発性難聴やメニエール病や脳腫瘍といった耳や脳の病気や高血圧などの全身的な病気が隠れていることもあるので注意が必要です。
自律神経の乱れも耳鳴りの原因に
また病気がなくても、ストレスや睡眠不足、疲労などによる自律神経の乱れが原因で起きる耳鳴りも少なくないそうです。
仕事のプレッシャーや人間関係の悩み、更年期など心や体にストレスがかかりやすいときは、自律神経が乱れて耳鳴りも起きやすくなるといわれています。
耳鳴りが起きると、不安な気持ちになったりイライラしたり……それがストレスとなって、ますます耳鳴りがひどくなるという悪循環に陥りがちだといいます。
体が疲れているときや睡眠不足が続くとき、精神的なストレスがかかっていると思うときは、自律神経のバランスが崩れやすいので要注意。
こんなときは規則正しい生活を心がけて、おいしいものを食べたり、趣味の時間をつくったりして意識的にストレスケアをするとよいかもしれません。
ところで、耳鳴りと難聴が合併していることが多く、また重大な病気が隠れていることもあります。
たかが耳鳴りと考えずに、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診して、病気の有無をチェックしてもらうことをおすすめします。
<参考>
※『家庭医学大事典』(小学館)
※「慢性的な耳鳴りには要注意」(千葉医師会)
※「耳の症状」(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)