
「かくれ貧血」の陰には何がかくれている?
特別でもなんでもない、ごくありふれた病気の貧血ですが、ときには、そうはっきりと診断がつかないことがあるらしいです。
「かくれ貧血」と呼ぶそうですが、貧血が「かくれ」てしまう理由はなんなのでしょう?
鉄不足は酸素不足の原因に?
単に「貧血」というと多くの場合「鉄欠乏性貧血」のことを指すようです。「鉄」が不足することが原因で引き起こされる貧血のことです。
成人女性のおよそ半数は貧血か貧血の傾向があるともいわれています。
頭痛、めまい、体がだるい、顔色が悪い、疲れやすい、息切れや動悸がするなどといった症状が特徴ですが、特に自覚症状がなくて健康診断などで指摘されることも多いようです。
鉄が不足することの何が問題なのかというと、必要な酸素が体に行き渡らなくなる心配があるといわれます。
鉄は赤血球の中のヘモグロビンという、「酸素を全身に運ぶ血色素」をつくるのに重要な役割を果たしています。
貧血になると体が酸素不足になって、前記のようなさまざまな症状があらわれるというわけです。
貧血なのに貧血でない「かくれ貧血」とは?
貧血の診断は、血液中のヘモグロビンの数値で判断されるのが一般的なようです。
ところがこのヘモグロビンの数値が正常値でも、実際は鉄が不足しているといったことがあるようです。
「かくれ貧血」、もしくは「潜在性鉄欠乏性貧血」などと呼ばれるようです。
本当は貧血の予備軍といってもいい状態なのに、検査上は貧血ではないという、困った状況になってしまうというわけです。
なんとなく体がだるい、頭が痛い、めまいがするなどといった体の不調が続き、不安に思って受診しても、検査の結果「貧血はなし」といわれて途方にくれる多くの女性たちの不安と苛立ちはいかばかりか……。
ではいったいこの不快感の本当の原因はなんなのか?
何がかくれているのか?
……フェリチンという物質がそのカギのようです。
「かくれ貧血」の正体はフェリチンにあり?
フェリチンは体内にある鉄の貯蔵や調整を担うタンパク質で、血液中の鉄が不足すると骨髄や肝臓などに貯めておいたフェリチンを利用してヘモグロビンを作るのだそうです。
例えば偏った食事などで体内の鉄不足が続くと、貯蔵されたフェリチンがどんどん消費され、結果的に体はフェリチン不足におちいります。
通常の血液検査でヘモグロビンの数値を測っても正常値だと、検査上は貧血とは判断されません。
でも実際には体内でフェリチンが不足した状態なわけで、放置すれば本当の貧血になってしまいかねません。
これが「かくれ貧血」の正体だそうです。
ということはフェリチンの数値を検査すれば、いわゆる「かくれ貧血」だということがわかるといいます。
もしかして「かくれ貧血」かもと思ったら、フェリチンの検査についてかかりつけの医師に相談してみてはいかがでしょう。
<参考>
*「ウィメンズ・メディカ」(小学館)
*「その不調“かくれ貧血”かも?」(「あさイチ」2022.7.27/NHK)