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蚊と人間の暑くて熱い闘いの夏?

「日本の夏」といえば、まず「花火」、次の次の……次くらいに「蚊取り線香」……でしょうか。

夜空を彩る花火とは対照的に、蚊は嫌われ者の代表格。そんな蚊と人間の暑くて熱いバトルについて考えてみました。

 

蚊は人間の天敵なのか?

 あの独特のツィ〜〜ンという金属的な羽音が気になって物事に集中できなかったり、安眠を妨げられたりといった人も多いでしょう。

 知らない間に血を吸われて、アッと気づいてパチンとやると、肌には真っ赤な吸われた血の痕跡。「しまった!」と思う間もなくおそってくる猛烈なかゆみ……。

 蚊と人間の関係は深く、なんと年間70万人以上が、蚊の媒介するマラリアなどの感染症によって亡くなっているそうです(WHOなどの統計)。

 ただ、人間の天敵などといわれて世界中から忌み嫌われている蚊ですが、肝心の人間はというと、年間に40万人以上も殺すということですから、蚊だけを恨むことはできません。

 

血を吸うのはメスだけ?

蚊は世界に3500種以上いるとされます。日本国内でも100種類以上いるそうですが、人間の血を吸うのはそのうち20種類ほどだといわれます。

 では、人間の血を吸わない蚊は何を吸っているのでしょうか?

主に樹液や果汁、花の蜜を吸っているのだそうです。

他の昆虫とあまり変わりませんね。

 さらに人間の血を吸うのは産卵を控えたメスの蚊だけなのだそうです。

子孫を残すために命がけで人間に張り付く蚊が、健気でどことなくいじらしく感じてしまいます。

ただ、なかには血を吸わないメスもいるそうです。

 

蚊に好かれやすい人とは?

でも血を吸わない蚊がいようがいまいが、現実として大抵の場合、蚊がいれば刺されるわけで、結局どうすればいいのか?

例えば「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と孫子がいっています。

 この場合の「彼」は蚊ですから、蚊は何に惹きつけられるのかを知れば蚊に刺されることも自ずから減るに相違ありません。

 蚊が好きなのは二酸化炭素、体温、汗や足の匂い、黒い衣服だそうです。

 とくにアルコールが好きな方は要注意かも。飲酒して体温が上がると蚊の絶好のターゲットになりやすく、酔うと呼吸も頻繁になったりするので、刺されやすくもなりそうです。

 

蚊が肌に止まれない蚊除け剤?

 最近は「蚊除け草」といった植物が園芸店に並んでいるのを目にします。

 蚊が嫌う成分や二酸化炭素を検知する能力を低下させる効能を含んだ植物みたいですが、鉢に入ったままでは効果が発揮できないようです。

新芽の香りに蚊除けの効果があるらしく、枝を剪定して新芽がたくさん出るようにした方がいいらしいです。園芸店に教えてもらいました。

葉っぱをもんだり、網などに入れて使うのもよいそうです。

そんななか、花王が蚊を肌に止まらせない新タイプの蚊除けのローションをタイで発売したと報道がありました。

 蚊は肌に止まると脚先を使って体勢を安定させてから吸血するらしいのですが、安定する前に肌に止まれずに飛び立つようにさせれば、刺されないことが分かったということです。

 

ネコも蚊が苦手?

 このローションを肌に塗った場合の蚊の吸血行動は、何も塗っていない場合の平均85パーセントに対し平均4%しかなかったそうです(花王/ニュースリリースより)。ただ、日本での発売予定はないということです。

 ちなみにネコも蚊が苦手なようで……。

新聞によると、ネコが大好きなマタタビの葉っぱにも蚊除けの成分が入っているらしく、ネコが葉っぱを噛んだり体をこすりつけるのは蚊を寄せ付けないようにするための行動らしいことが、名古屋大学と岩手大学などの研究で分かったということです(東京新聞/2022.6.15)。

ネコとマタタビをヒントにどんな蚊除け剤ができるんでしょうね。

 

<参考>

*「『蚊』対策 豆知識」(フマキラー株式会社)

*「蚊の嫌う肌表面をつくり、蚊に刺されることを防ぐ技術を開発」他ニュースリリース(花王株式会社)

*「肌に止まらない蚊よけ」(JIJI.COM/2022.6.15/時事通信社)

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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