1日1杯の酒でも脳が萎縮する?
仕事帰りの1杯が何よりの楽しみといった人は多いでしょう。
そんな人にはドキッとする話。
1杯の酒でも脳が萎縮するという研究結果が発表されたというのです。
世の左党には聞き捨てならない話です。
飲酒量と脳萎縮には相関関係がある?
アルコール依存症や毎日たくさんのアルコールを飲む習慣のある人は、脳が萎縮して認知症になりやすい傾向があるというのはよく知られています。
厚生労働省もHPで「飲酒量と脳萎縮の程度には正の相関が見られる」と指摘しています(e-ヘルスネット「アルコールと認知症」より)。
高齢者施設に入所している認知症患者の約3割は、大量の飲酒が原因という調査結果もあるようです。
ただ反面、アルコールを止めれば、脳の萎縮が改善するともいわれています。
また過去に5年以上、大量に飲酒した経験のある高齢男性は、そうした経験のない男性に比べて、認知症になる危険性が4.6倍も高いことが報告されているともいいます(いずれも「e-ヘルスネット」より)。
少量の飲酒なら認知症を予防できる?
一方で厚労省は同HPで、酒を飲まない、もしくは大量に飲酒する人より、少量を飲酒する人の方が認知症の危険を下げるということもいっています。
まったく酒を飲まないよりも、少し飲むくらいの方が認知症の予防になるということになるというのです。
酒好きなら「それ見たことか」と膝の1つもたたいて快哉をあげるということになるでしょうが、そんなうまい話はあるものではありません。
この場合の少量のアルコールというのは、1週間に350mlのビールなら1〜6本ということらしいですから、文字通りの少量です。
左党ならぬ飲んべえからすれば、そんな分量ではとても飲酒とは呼べない、呼び水(この場合は呼び酒?)にもならないよ、ということになるでしょうけど……。
ワイン1杯でも脳が萎縮する?
そんな厚労省の指摘を嘲笑うような、根底から覆すような、まさに驚天動地のニュース報道が最近ありました。
なんと1日にワイン1杯飲むだけでも、脳が萎縮するという驚くべき報告です。
アメリカの大学の研究チームによる調査だそうで、約3万7000人の健康データを分析して導き出したということです(東京新聞/2022.4.13付)。
ビールの小瓶1本の飲酒でも、同じように脳の萎縮がわずかに起きることが確かめられたそうです。
加齢とともに脳が萎縮することはよく知られていますが、そこに飲酒が加わることで、いっきに数年分の加齢に匹敵するほどの影響が脳にみられるそうです。
古来いわれる「酒は百薬の長」どころか「百毒の長」ということでしょうか?
吉田兼好の『徒然草』に「万(よろず)の病は酒よりこそ起これ」という一節があります。
心して飲むことにしましょう。
<参考>
*「アルコールと認知症」(厚生労働省・e-ヘルスネット)
*「飲酒1日1杯でも脳が萎縮」(東京新聞/2022.4.13)