
気になる味覚障害
おいしいものを食べても、味がわからない……味覚障害があるとせっかくの食事も苦痛なものになってしまいますね。
今回は、近年増えているといわれる味覚障害について調べてみました。
味がわからない、味がおかしい……
新型コロナウイルスの後遺症としても問題になっている「味覚障害」。
味覚障害は近年増えているトラブルの一つで、1990年の調査では14万人だった患者数は、2019年には27万人と、約2倍近くまで増えているようです。
ひとくちに味覚障害といっても、味がわからなくなるほか、いつもと違う味がする(本来の味とは違う味がする)、甘味や塩見などある特定の味がわからなくなる、何を食べても嫌な味がする、いつも口の中が苦く感じるなど、症状はさまざま。
いずれにしても、食事がまったくおいしく感じられなくなってしまうのです。
それだけではありません。塩味や甘味が感じられなければ、料理に必要以上に調味料や砂糖を加えてしまいます。そのために、肥満や生活習慣病のリスクが高まるといわれています。
舌の表面にある味蕾がカギを握る
そもそも、舌の表面には味蕾(みらい)という味覚を感じる器官があって、甘味、塩味、苦味、酸味、うま味など食べ物に含まれる味は。この味蕾でキャッチされて、脳で知覚されることで味を感じるといいます。
この情報伝達がうまくいかなくなると、味覚障害が起こってしまうそうです。
原因はさまざま
でもなぜ、味覚障害が起こってしまうのでしょうか。
主な原因には、以下のものがあるといわれています。
(1)亜鉛不足
もっとも多い原因は亜鉛不足だといわれています。
亜鉛は肉類や魚介類に多く含まれていますが、極端なダイエットをしていたり、偏った食事をしていると食事からしっかりと亜鉛をとることができません。
また、ファストフードやインスタント食品、コンビニ食品を多くとっている人も要注意。
これらの食品に含まれている食品添加物が亜鉛の吸収を阻害してしまうからです。
(2)ストレスやうつ病
ご存じの方も多いかもしれませんが、うつ病になったりストレスがあるときにも、味覚が低下することが知られています。
何を食べてもおいしくなくて、砂を噛むような味気なさを感じると訴える人もいるようです。
(3)病気や薬の影響
糖尿病や貧血、胃腸の病気、口内炎、ドライマウス、また風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどでも味覚障害が起こることが知られています。
さらに降圧剤や抗生物質、抗アレルギー剤など薬剤の影響で起こることもあるそうです。
ほかにも、加齢に伴って味蕾の機能も低下するため、高齢になるにしたがって味覚障害を訴える傾向があるといわれています。
ますは食事の見直しを
味覚障害に悩んだら、まず耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
最近では味覚専門外来がある病院もあるので、気になる人は調べてみてください。
また、予防対策は食事の見直しが大事です。
食事は栄養バランスを心がけて、牡蠣や豚レバー、牛肉、卵、チーズなどの乳製品、高野豆腐や納豆など大豆加工品、切干大根、ナッツ類など亜鉛を含む食品も積極的にとりましょう。
さらに、舌の汚れも味覚障害の原因になるそうです。
舌の汚れは口臭の原因にもなります。これを機に、口の中の清潔も心がけたいものですね。
<参考>
※「口腔外科相談室」(日本口腔外科学会)
※「味がわからない」(『きょうの健康』2021年3月号 NHK出版)
※『ウィメンズ・メディカ』(小学館)