よく噛むことで、ストレス発散!?
よく噛むことはいろいろな効用があるといわれていますが、心の安定にもひと役かっているといわれています。
現代人は昔の人と比べて、噛む回数も食事時間も減少
突然ですが、みなさんは、よく噛んで食事をしていますか?
現代人は、総じて早食い。
1回の食事の咀嚼回数と食事時間を調べた報告によると、現代人の食事は戦前と比べて噛む回数、食事時間とも半分に減っているといわれています。
ランチタイムにかける時間は、世代を問わず20分という調査報告もあるようです。「仕事ができる人はできるは早食いだ」といわれていた時代もあったようですが、今はよく噛むことが脳と体の健康維持に大きな効果があるとして注目されています。
噛むことと体の健康
よく噛むことは肥満防止になることはご存じの方も多いかと思います。
けれどもそれだけではありません。
例えばよく噛んでしっかり食べ物を細かくすることで、消化器官の負担を減らしたり、虫歯や歯周病、口臭の予防することが知られています。
またよく噛むことで唾液がたくさん分泌されますが、唾液に含まれる酵素には、食品中の発がん物質を抑制する効果があるそうなのです。
こんなふうに、よく噛むことは健康を保つ上でさまざまなメリットがありますが、もうひとつ注目したいのが心の健康への効用です。
ストレス対策に有効
私たちはストレスがかかると、『ストレスホルモン』が分泌されて、体が興奮状態になります。つまり危機に備えようとする体の反応が起こるわけですが、この状態が長く続くと代謝や免疫力が落ちたり、抑うつにつながるなどさまざまな悪影響が起こってきます。
ところが、よく噛むことでストレスホルモンの分泌が抑えられることがわかっているそうなのです。
心の安定に欠かせないセロトニンもUP!
さらに、よく噛むことは、幸せホルモンといわれる「セロトニン」の分泌も高まることが知られています。
セロトニンは精神を安定させたり、気持ちをリラックスさせる神経伝達物質で人間の感情に大きな影響を与えることがわかっています。
このセロトニンの分泌を高めるためには、ウォーキングやスクワットなどの一定のリズム運動が有効だといわれています。そして、咀嚼運動もその一つなのです。
また、例えばガムを20分以上噛んでいると、脳内セロトニン濃度が高まるといわれていますから、ガムを噛むのも有効なようです。
ストレスがたまったときに私たちはしばしばやけ食いをしますが、こんなときにはおおいにガムを噛むほうが、ずっと健康的にストレスを発散できそうですね。
ほかにもよく噛むことで脳の血流が増加して、記憶や感情をコントロールの関与する前頭葉や海馬が活性化されるといわれています。
忙しいとついつい早食いになりがちですが、食事はしっかりとよく噛むことを心がけて心の健康も保ちたいものですね。
<参考>
※「みんなの食育 ゆっくり食べる」(農林水産省)
※「よく噛むことの8つの効果」(日本訪問歯科協会)
※「めざせ8020」(『きょうの健康』2021年8月号 NHK出版)
※『心の病を治す 食事・運動・睡眠の整え方』(翔泳社 功刀浩著)