プラスコラム
PLUS COLUMN

水槽の中の小宇宙に癒し効果?

以前にも増してストレスが溜まる一方の毎日。そんななかイヌやネコといったペットに代わって、熱帯魚を飼う人が増えているとか。

水槽を泳ぐ魚を見ていると気持ちが和むのだそうです。

どんな効果があるのでしょう?

 

人気上昇中のアクアリウムとは?

 アクアリウムという言葉を耳にした人は多いでしょう。

水族館とか水生動物の泳ぐ飼育槽といった意味ですが、一般には水草をレイアウトした水槽の中で熱帯魚などの観賞魚を飼うことを指しています。

そんなアクアリウムが今、人気なのだそうです。

実際に郊外のホームセンターをのぞいてみると、イヌやネコといったおなじみのペットコーナーのそばに、色とりどりの熱帯魚はもちろん、メダカや金魚といった定番の魚たちも水槽の中で踊るように泳いでいます。

飼育に必要な関連グッズがいろいろと並べられています。

水槽を彩る水草の種類も豊富です。

かつては水質の維持や温度管理など、メンテナンスが大変だったようですが、今では誰でもアクアリウムを手軽に楽しめるようになりました。

 こうしたアクアペット市場はコロナ禍の影響もあってでしょうか、好調なようです。

 

アクアリウムセラピーにはどんな効果が?

 ある大手ディスカウントストアは、巨大な水槽を店の入り口にド~ンと展示しています。

水槽の中では熱帯魚が悠然と泳いでいて客の目を楽しませています。

 また、水槽を診察室に置く歯医者さんもめずらしくないようです。アクアリウムは患者さんの緊張を和らげたり、治療への不安を緩和する効果もあるといわれています。

 癒し効果もあるうえに、見る人の目を楽しませるインテリアとしてアクアリウムを置くホテルや旅館、商業施設は少なくありません。

アクアリウムセラピーという言葉もよく耳にします。

アクアリウムには心拍数を下げたり、血圧を下げる、ストレスの軽減といった効果や、快楽を感じる脳内物質を分泌させる働きがあるといわれています。

 

アクアリウムのミニ自然は癒しの世界

老人ホームや福祉施設ではアクアリウムがセラピーの1つとして利用されているようです。

アクアリウムによる認知症へのセラピー効果についてのアメリカの大学の研究によると、攻撃性の低下や食欲と注意力の増加が見られたということです。

水槽を泳ぐ魚をぼんやりと眺めたり、ゆらゆらと水の流れにまかせて揺れる水草を見たりすることが、心の癒しはもちろんのこと、意欲を生み出す力にもなっているのでしょうか。

 癒し、安らぎについては今までさまざまいわれました。

たとえばフィトンチッドによる森林浴効果とか、滝の水しぶきによるマイナスイオン効果などが印象的です。 

最近では、一人キャンプでの焚き火による癒しなどもいわれています。いずれも日頃、都会での生活では味わうことができないものばかりです。 

でも水槽と魚と少しばかりの水草でつくられるアクアリウムという小宇宙には、自然界と同じくらいの癒し効果があるらしいということがわかりました。

こんな閉塞感でいっぱいのときこそ、アクアリウムが作り出す小さな癒しの世界を自宅で味わってみるのはいかがでしょう。

 

<参考>

*「魚が泳ぐ姿に癒し効果」(東京新聞/2021.3.24)

 

 

 

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。