
コロナで喫煙増加!あらためて考えたい、受動喫煙の害
コロナ禍、在宅勤務によりたばこを吸う量も増加中。それに伴って心配されるが家族の受動喫煙です。
今回は、受動喫煙について考えてみたいと思います。
在宅勤務でストレス増加?
長びく新型コロナウイルスの影響により、リモートワークが定着しつつあるようですね。
在宅勤務は、通勤時間の削減などのメリットがある反面、仕事のモチベーションの維持が難しいなどストレスを感じる人も少なくないようです。働き方の変化によるストレスから、喫煙の増加が心配されています。
国立がん研究センターでは令和3年3月に20歳以上の男女2000人(喫煙者1000人。非喫煙者1000人)を対象に「新型コロナウイルスとたばこに関するアンケート調査」を行い、その結果を発表しました。
在宅勤務で喫煙本数が増加
調査報告によると、コロナ禍でたばこを吸う量が増えたと答えた人は18%。喫煙が増えた理由として最も多かったのが「感染リスクの増大や、生活や環境の変化に伴うストレスの増加」で全体の49%を占めていました。
次いで、「職場は禁煙となっているが、自宅は制約がないため」という回答が約34%、「職場と違って自宅では周囲の目が気にならない」と回答した人も10%いました。
在宅勤務は、勤務時間とプライベートの線引きが難しく、ダメとわかっていながら、ついたばこに手が伸びてしまう人が少なくないようです。
「たばこを吸う量が増えた」という人に比例して、家族における受動喫煙の悩みも増加しました。
「たばこを吸う同居人からの受動喫煙が増えた」と答えた人は約34%にのぼったそうです。
たばこの有害物質は、副流煙のほうが深刻
みなさんも、ご存じのように受動喫煙とは「他人が吸ったたばこの煙を吸わされる」こと。
喫煙者は、周囲の人に及ぼすたばこの害について無頓着なことが多いようですが、実はたばこの健康被害は、吸っている本人よりも周囲にいる非喫煙者のほうがずっと深刻なのです。
例えば、副流煙の問題です。
たばこの煙には、本人が吸う「主流煙」とたばこの先から立ち上る「副流煙」があります。
たばこには発がん性物質など数十種類の有害物質と数千種類の化学物質が含まれているといわれます。
たばこの三大有害成分といわれているのが、ニコチン、タール、一酸化炭素ですが、例えば副流煙に含まれるニコチンやタールは、主流煙の約3倍に。一酸化炭素は4.7倍ほど高くなるとされています。
その他、副流煙には多くの有害物質が、主流煙に比べて高濃度に含まれていることがわかっているそうです。
たばこを吸う本人よりも、その周辺にいる非喫煙者のほうが、受ける健康被害が格段に多いというわけです。
受動喫煙による健康被害
また、喫煙男性の妻の肺がん死亡率は、非喫煙男性の妻より明らかに高く、その割合は夫の喫煙量とともに高くなることがわかっています。
もちろん子どもへの影響も深刻です。
よく知られているのが、乳幼児突然死症候群(SIDS)です。これは元気だった赤ちゃんが突然死亡してしまう病気で、親の喫煙によるリスクは、非喫煙者の家庭と比べてなんと4.7倍にも!
ほかにもせき、たん、息切れなどの呼吸器症状、気管支炎や肺炎、中耳炎や虫歯、知能低下も指摘されています。
また、妊娠中は自然流産や低体重児出生などのリスクがあることが知られています。
親の喫煙は、子どもに深刻な健康被害を与えてしまうようです。
換気扇の下で吸っても、部屋全体に有害物質が拡散
家族の健康を気にして、自分は換気扇の下で吸っているから大丈夫なのでは? という声を聞きますが、換気しきれなかった煙は周囲を漂います。その有害物質が室内のカーペットやカーテン、壁紙などに有害物質が付着して、長期間家族に影響を及ぼすそうなのです。
それだけではありません。喫煙者自身の衣服や髪の毛に付いた有害物質も長時間付着しますから、一緒にいる家族はその有害物質も吸い込むことになるのです。
コロナ禍は禁煙のチャンスかも
喫煙習慣はニコチン依存症だといわれています。
なかなか禁煙できないのも、意志の弱さが原因ではなくて強い依存性が原因であることが知られています。
1人での禁煙はなかなか難しいようですが、お医者さんと一緒に禁煙をすすめていけば、禁煙の治療薬を処方してもらうことができ適切なアドバイスを受けられるので、禁煙の成功率が高まるといわれています。
治療を受けるのが面倒という人も2020年度より禁煙外来のオンライン診療が認められて、スマートフォンやタブレット、パソコンで診療が受けられるようになりました。
緊急事態で外飲みができない今こそ、禁煙のチャンスかも。
大切な家族の健康を守るためにも、また喫煙者自身の健康を守るためにも、禁煙にトライしてみませんか?
<参考>
※新型コロナウイルスとたばこに関するアンケート調査 報告書(国立研究開発法人 国立がん研究センター)
※「受動喫煙3割増えた」(東京新聞 2021/5/31)
※最新たばこ情報(厚生労働省)
※中学生用喫煙防止パンフレット「たばこに負けない」(文科省)
※「すすめよう禁煙」(日本医師会)
※「新型コロナウイルス感染症とタバコについて」(日本呼吸器学会)