
天気によって体調悪化。それはもしかすると「天気痛」かも
ジメジメした梅雨時や台風シーズンは、決まって体調が悪くなるということはありませんか?
これらは、気象病、天気痛と呼ばれるものです。つらい症状は、なぜ起こるのでしょうか?
気候による痛みは「気のせい」ではない
昔から、「天気が悪いと古傷が痛む」という表現がありました。天気と関係して起こる不調や痛みは「気のせい」で片づけられることが多かったのですが、研究が進んで、現在は気象病、天気痛と呼ばれ、認知されるようになりました。
実際は、どんな病気なのでしょうか?
約6割が「天気痛」を自覚
天気痛について、2020年、ロート製薬株式会社と株式会社ウェザーニューズが共同で調査をしました。
全国1万6000人余りを対象にして行ったところ、全体の約6割が天気痛の自覚がありました。中でも女性は、なんと約8割が「天気痛持ち」と回答しています。天気痛は、どうやら男性よりも女性のほうが多いようなのです。
天気痛の1位は「頭痛」
また、天気痛の症状で1位に挙がったのが「頭痛(51%)」。2人に1人が頭痛に悩んでいることがあきらかになりました。
次いで多かった症状は「肩こり、首こり(13.4%)」。3位「関節痛(12.8%)」、「腰痛(7.2%)」、「だるい(7.0%)」と続きます。
天気痛の対策としては「薬を飲む」が第1位で約6割が実践していました。
また、予防法としてもっとも多かった回答は「天気予報をチェックする」ことで、発症のタイミングを知っておくことが天気痛をひどくしないためのポイントのようです。
内耳と気圧の関係
なぜ天気痛が起こるのでしょうか?
天気痛は体のバランスや聴覚に関係する「内耳」と「気圧」が大きく関係していると考えられているようです。
気圧の変化を内耳の気圧センサーが感知。それが脳に伝わって、気圧の変化に体を順応させるそうなのです。けれども、内耳が敏感な人は気圧の変化を過剰に感じ取ってしまいます。その結果自律神経が乱れて、さまざまな不調や痛みを引き起こすと考えられているといいます。
天気痛を起こす人の多くは、天気が変わる前になんとなく予兆や前兆を感じるそうです。
「痛み日記」をつけよう
どんな対処法をとればいいのでしょうか。
気象病の中でもとくに痛みにまつわる病気を「天気痛」と名付け、日本で初めて「気象病外来・天気痛外来」を開設した佐藤純先生(愛知医科大学客員教授)は、その著書の中で、痛み日記をつけることをすすめています。
痛み日記をつけることで、自分を客観的に見て、症状を把握することで痛みのパターンがわかってくる。痛みのパターンがわかれば、痛みがひどくなる前に鎮痛薬を飲むなどの対処もできるといいます。
「痛み日記をつけるのは面倒」という人は、気圧の変化を教えてくれる専門アプリもあるそうですから、活用してみてください。
自律神経を整えるケアも大事
そのほか、セルフケアとしては、睡眠をしっかりとる、適度な運動をする、ぬるめのお風呂にゆったり入るなど、自律神経を整えることが大事だといいます。耳のマッサージやツボ刺激なども予防改善に効果があるそうです。
「もしかして、自分も天気痛かも」と思った人は、まずは「痛み日記」と自律神経を整えることから始めてみませんか?
<参考>
※『天気痛 つらい痛み・不安の原因と治療方法』(光文新書 佐藤純著)
※「全国1.6万人と実施した「天気痛調査」の結果を公開。天気痛は平均週2日発症、5人に1人が生活への支障あり」(株式会社ロート製薬 ニュースリリース)
※『「気象病」って何?―天気で痛みが出てくる』(奈良県医師会ホームページ)